オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

今日は調査でした。

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今年は海岸での魚類相調査の仕事です。干潟。猛烈な雨で一時中断・・

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上からマハゼ、ビリンゴ、アシシロハゼ、ヒメハゼです。昔にハゼを勉強した甲斐がありました。

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次は岩場へ・・

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ケシウミアメンボがいました!実はF岡県で採ったのは初です!!

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モクズショイ?

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なんだっけ・・カジカの仲間・・ 図鑑を使って調べてみましたが、たぶんキヌカジカであっているはず・・

論文

蛭田 密・漬野 真(2001)九州沿岸における鰭脚類の漂着・迷入・混獲について.日本海セトロジー研究 ,11:15-19.(PDF

メモです。福岡県と佐賀県を中心とした九州におけるアザラシ類の記録がまとめられています。表2のうち、福岡県の部分ちょっと抜き出してみました↓実はけっこう記録があることがわかります。f:id:OIKAWAMARU:20190728213936j:plainこのうちの4番の個体は書いてあるとおり、私の出身研究室にいた剥製です。いまは九州大学総合研究博物館で保管されています。

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この個体です。研究室の標本棚の上の方の大きな段ボール箱に入って半ば忘れられていたもので、標本庫整理の際に廃棄の恐れもあったことから、博物館の丸山宗利さんに相談して移管してもらったのでした。

ところでその際に採集データを調べたのですが、すでに当時を知る人が研究室におらず、聞き取りの聞き取りみたいな感じで昭和43年(1968年)春としました。ところがこの論文では1969年7月6日となっています。論文作成時にきちんと聞き取りをしているので、こちらの方が正しいように思います。また、同定もワモンアザラシとしていましたが、これは台座にフイリアザラシ(=ワモンアザラシの別名)とあったからで、きちんと同定したわけではありません。これもこの論文ではゴマフアザラシになっており、著者は標本を実見していそうなのと、当然ながらアザラシ類には詳しいので、ゴマフアザラシが正しそうです。いずれにしろ標本はあるので、調べようと思えば調べられるでしょう。

標本にはきちんとラベルをつけておく(記憶はあいまいになる)、標本はきちんと残しておく(後でいくらでも詳しく調べられる)、それから何より論文にして世に出しておく(こうして後々人目につき検証する機会ができる)、ということの重要性がわかる一件です。加えて、こうした自然史の記録の積み重ねは、これまでの自然環境の変化を知り、その先の変化を予測する上でも役立つ科学的データと言えるでしょう。

おまけです。先ほどの表2の1番の1879年の今津のゴマフアザラシの記録については、当時の騒ぎを知ることのできる興味深いブログ記事があったので紹介しておきます↓

blog.goo.ne.jp

日記

今日は観察会でした。毎年しているところです。

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ちょっと増水気味でしたが、なんとか。今回も人気で、キャンセル待ちも発生していた感じだったとか。需要があるのはうれしいです。安全管理のため人数が増やせないのは、やむを得ません。

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ツチガエルがいました。

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カマツカの布教もうまくいきました。

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オヤニラミも美しいです。ただ今日はやはり増水の影響で魚があんまり採れませんでした。

 

日記

今日は調査でした。先週かなりまとまって雨が降り、梅雨はあけたようです。

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梅雨もあけて今日は暑い日でした。こんな暑い日の午後にすることと言えば?そう、湿地帯。強い日差しの照りつける素堀りの水路にGOです。

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ドジョウォォォォ!!!

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フナァァァァ!!!

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ミナミメダカゥヮァ!!! やはりこういう暑い夏の午後は素堀りの水路に限りますね。最高です。真夏です。これから真夏になります。明日は観察会です。

日記

今日は観察会でした。ぎりぎり雨も風もなく、開催できました。

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今日のライブ会場。毎年かかわっている某ビオトープです。

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タイコウチ!右下の一匹が成虫、他は幼虫です。不完全変態なので、幼虫は成虫に良く似ていますが、翅がありません。

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ドジョウ!今年も繁殖していました。ここのは遺伝的に在来系統です。F岡県でもここ数年、外来系統のドジョウの野外での確認地点が増えています。地域には地域のドジョウがいます。数万年、あるいはそれ以上、ずっと昔から生息している自然遺産です。気まぐれで破壊しないで下さい。取り返しはつきません。その辺で買ってきたドジョウは絶対に放流してはいけません。

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その後は秘密の池Xの様子を見に寄り道。干上がってないか心配していましたが、ここしばらくの雨で水位は問題なさそうでした。コオイムシがいました。この池で採ったのは初めてかも?だんだん増えている気もします。

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ルイスツブゲンゴロウ。この池ではずっと多産していますが、産地はかなり減っています。今後が心配なゲンゴロウです。

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カメムシ目のミズムシ類がものすごくたくさんいました。大型種はざっと見た感じ、オオミズムシ、ナガミズムシ、ミヤケミズムシでした。特にナガミズムシは、県内では珍しいですが、今日はたくさんいました。

夏休みに入りまして観察会講師業も本格化。今年は10回と、ちょっと少なめです。

日記

カラドジョウとドジョウ。その顔を比べてみます。

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これはカラドジョウです。

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これもカラドジョウです。カラドジョウの原産地は朝鮮半島から中国中南部。食用として輸入されたドジョウに混ざって日本列島に持ち込まれ、そうした外来ドジョウと一緒に野外に放流されたことで日本各地に定着したものと思われます。

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これはドジョウの九州在来系統です。

こうしてみるとカラドジョウとドジョウとの違いは明白。よく見ればカラドジョウとは全然違う顔をした別の魚であることがわかりますね。「ドジョウ」だからと言ってよく知りもせずにその辺に放流して取り返しのつかないことをしてはいけないことがわかりますね。カラドジョウはドジョウと交雑することも知られており、国内に持ち込まれて外来種として定着してしまったことによる問題は、色々と大きいのです。これ以上広がらないように、放流はやめましょう。

 

 

日記

ビオトープ調査。某地にビオトープ公園をつくるという話で、単に掘って水がたまっただけで何もいれていませんが、かなり良い感じの湿地帯に。

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カワツルモが勝手に大群落をつくっていて感動しました。湿地帯は再生するのですねぇ。。

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色々な水生昆虫も勝手に棲みついていましたが、ここではチビマルガムシが多産していて良かったです。県内ではあまりみかけません。甲虫はほかにハイイロゲンゴロウ、コガタノゲンゴロウ、ヒメガムシ、キイロヒラタガムシ、ルイスヒラタガムシ、ゴマフガムシ、ヤマトゴマフガムシが確認できました。

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コミズムシ属とかチビミズムシ属とかは無限に湧いていました。場があれば湿地帯生物はどこかから勝手にやってきて、勝手に増殖します。こうした湿地ビオトープが各地に出来れば生物多様性保全の大きく貢献するでしょう。くれぐれも、池をつくってコイやら西洋スイレンやらの外来種を放流したり植えたりしてはいけませんよ。

 ところでここは2年ほど前から水がたまっているのですが、何故か昨年からヌマガエルが繁殖しています。立地的にとても歩いてこれるとは思えないのと、一般人立ち入り禁止なので、どこから飛来してきた鳥(サギ類?)がここでオタマジャクシを吐きだしたとか、そういう由来かと考えています。しかしどこからやってくるのやら・・。上の写真に写っているオタマジャクシがヌマガエルです。