オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

今日は川に行きました。レジャー的な。

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夏の光が強すぎて河原の石が白く写りすぎてしまいます。良い湿地帯でした。

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カジカガエルのオタマジャクシです。岸際にものすごくたくさんいました。どのくらいの数が親になるんでしょうか??

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カワヨシノボリです。何型とか不用意に呼ばない・・・。

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カワムツです。黄色が鮮やか!美しい!!

ポン氏を放流することが主な目的でしたが、熱狂して遊んでいました。しかし後半は疲れからか不機嫌にあたりちらしはじめたので撤収しました。

日記

今日は夜の森にカブトムシ探しにいきました。ポン氏が行ってみたいということで、ポン氏は初の夜の森です!

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なんとわりとあっさりとみつかりました!良いポイントです。コクワガタもたくさんいます。樹液でのカブトムシ採集とか、何年ぶりでしょうか・・楽しい・・

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コクワガタが戦っている様子が観察できました。投げ飛ばしています!すごい迫力。

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立派なオスです。

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樹液の場所ではおなじみ、ヨツボシケシキスイです。

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オオゲジです。久しぶりにみましたが、大きいです。これもすごい迫力!

ポン氏は楽しかったようですが、カブトムシを採集後は冷静さを取り戻し、森の暗黒さに気づいてしまって怯えていたので、30分ほどで撤収しました。しかしまた行きたいと申していたので、ぜひまた行きたいと思います。夜の観察は楽しいです。

日記

昨日の日記で紹介した木の杭に孔を掘って暮らしている等脚類ですが、当初は木に孔を掘って暮らすということからキクイムシ類かと思ったのですが、形態的にはコツブムシ類のようでした。

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孔を掘れる基質があれば何でも掘って暮らしてしまう種として、日本ではヨツバコツブムシやナナツバコツブムシが知られているようです。

 

ヨツバコツブムシの記事↓

www2.chiba-muse.or.jp

ナナツバコツブムシの記事↓

www.geosociety.jp

こうした記事を改めて読んでみると、確かに頭の片隅にこうした生き物の話はちらっとありました。ようするに適した基質が海中にあれば、孔を掘って暮らすという生態をもっているのですね。興味深いです。

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これらの孔の中にはコツブムシ類が1匹ずつ入っていましたが、お尻の部分でフタをしているような感じで、がっちりとはまっていました。色々な湿地帯生物がいて、まだまだ修行が足りません。。

ということでご教示いただいた林成多さん、ありがとうございました!勉強になりました。

日記

私もポン氏も夏休みです。いつものプールも海も軒並み閉鎖中。行っても良かろうという範囲の中で、隣県の干潟に行ってきました。まったく密ではなく、よかったです。しかし久しぶりに真っ向からその干潟に乗り込みましたが、いやーこれは、疲れますね・・海水浴と言えば海水浴・・

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ここは有料でタビやらガタスキーやらシャワーやら使わせてもらえるので、有明海の干潟に挑戦する初心者にもおすすめです!(道の駅鹿島

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生物多様性の恵みを購入しました。食べます。

日記

ということで先週は久しぶりに有明海側の河口に調査に行きました。有明海の達人K宮氏にご教示いただきながらの調査でした。

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満潮時の漁港。初めて見るとギョッとするくらい水位が高いですが、これが普通です。最大6メートルの干満差がさすがなのです。

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ヒラです!秒速でウロコがとれていきます(泣)。しかし今日はこのヒラの標本が最大目標だったので、なるべく丁寧に標本としました。いきなり目的の一つは達成できました。

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こちらは一見似ていますが、サッパです。ウロコがとれにくく、その点でもヒラと違います。

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メナダです。ボラの仲間でボラに似ています。有明海にはもちろんボラもいますが、場所によってはメナダばかりです。

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イダテンギンポです。牡蠣殻の中で暮らしている、代表的な干潟の魚です。

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スズキです。有明海側のスズキは、スズキとタイリクスズキの自然交雑に由来する固有の個体群です。スズキと比べて黒点が目立ちますが、タイリクスズキほど黒点が大きくなく、絶妙です。

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シモフリシマハゼです。有明海側ではおなじみ。純淡水域でもしばしば見かけます。

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ショウキハゼです。鍾馗様のような髭がポイントです。
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シオマネキです。大型のオス!かっこいいです。

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漁港に抜かれたばかりの木の杭が置いてあったのですが、穴がたくさんあいており、何やらプチプチ音がするので見てみると、穴の中に何か生き物がいるようでした。

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ピンセットでつまんでみると、等脚類のコツブムシの仲間でした。種類はわかりません。有明海だと独特なのがいるんでしょうか??

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ワラスボです。K宮氏の必殺秘密ポイントにて、開始数秒で採集できました!すごいです。ざくざくいます。

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洗うとこんな感じです。泥の中でミミズのようにして暮らしているようで、体はミミズのようにピンク色です。

ということで久しぶりの有明海側河口調査でしたが、湿地帯生物の密度が高く、種類も多く、しかも変わったものばかりということで、やはり最高です!ご案内いただいたK宮氏、ありがとうございました!

日記

今日は観察会でした。暑くて大変かと思いましたが、意外に風があり、なんとかなりました。

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今日の会場。毎年しているところです。今年は人数を減らして、野外ということで、なんとか開催することができました。

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今年もドジョウは爆発的に増殖していました!写真がブレています!

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タイコウチです。最近減ってきて心配していたところですが、今年はそこそこいて安心しました。かっこいいですねー。

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こちらはタイコウチの幼虫です。タイコウチカメムシ目なので不完全変態です。すなわち蛹の期間はありません。成虫に似た感じの幼虫が5回脱皮して成虫になります。幼虫は成虫に比べて呼吸管が短く、翅もありません。加えてあどけない感じです。

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ハイイロゲンゴロウです。毎年しぬほどたくさんいますが、今年もしぬほどたくさんいました。あいかわらずテンションが高いです。

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なんとコオイムシです!記憶の限りではこれまでいなかったような。ここ数年、福岡県内では明らかに増えています。メスがオスの背中に卵を産み付け、オスは孵化するまで世話をします。子負い虫の名の由来です。すなわちこの個体はオスということになります。

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いま話題のマメガムシです!本当は観察会中に採集して、カエルに食べられても脱出する話をしたかったのですが、観察会中に採れませんでした。観察会後に採集して遊んでいたら、採れました。無念です。修行がたりません。

参加者のちびっこの皆さんもかなり熱狂していました。今年は色々な活動が中止になっているものと思います。この夏の貴重な思い出として、ずっと残ってくれるとよいなと思いました。

論文

Sugiura, S. (2020) Active escape of prey from predator vent via the digestive tract.  Current Biology: DOI: https://doi.org/10.1016/j.cub.2020.06.026

水生甲虫界が驚く衝撃の論文が出ました。主役はマメガムシです。マメガムシと言えばわりあいに普通にいる黒い、変な形をした止水性の小さなガムシですが、このマメガムシにすさまじい必殺技があることがわかりました。なんとマメガムシはカエルに食べられても死なずに、かなりの確率で生きたまま総排出孔から出てきて生還するということが報告されたのです。衝撃です!(ついでながら「ネイチャーガイド日本の水生昆虫」も引用されていてうれしいです!)

普通、小さな昆虫類はなるべく「食べられないための必殺技」を磨いています。しかしマメガムシは「食べられた後に助かる必殺技」を磨いていたのでした。これは動画をみたら話が早いですね。論文の内容が一撃でわかる動画がこちらです↓

www.youtube.com

はい、すごいですねー・・。論文では5種類のカエル(トノサマガエル、トウキョウダルマガエル、ヌマガエル、ツチガエル、二ホンアマガエル)に食べさせていますが、生還率は多少異なるものの、すべての種でマメガムシは生還しました。その一方で他のガムシ類ではいずれも生還はしなかったということで、この特性がマメガムシ独自のものであることがわかります。また、マメガムシはかなり積極的に消化管内で移動しつつ刺激を与えて自らの排出を促している可能性も指摘しています。すごすぎです。

詳細は神戸大学のプレスリリースが、イラストも写真も豊富で大変わかりやすいので、こちらを読むのがおすすめであります↓

www.kobe-u.ac.jp

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ということでマメガムシです。この変な形、確かに違和感はありました。

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頭からお尻にかけてきゅっと細くなり、横から見ると半円形と言いますか、頭部と前胸背部が一体となった美しい弧を描くのが特徴的で、また各脚がきゅっと収納されると言いますか、なんとも言いようがない個性的な種です。ちなみに泳ぎは超速です。しかしまさかこれほどの必殺技があるとは思いませんでした。今後観察会で現れたらこのネタを使わせてもらいます。ちびっこは大好きなネタと思われます。皆さんもマメガムシを見かけたらぜひ、この必殺技のことを思い出して下さい。

身近な湿地帯生物にもまだまだわかっていないことがたくさんありますね!