今日は家で諸々作業。庭の池の変遷を紹介します。子供の時から将来の夢の一つは池をつくることだったわけですが、庭を手に入れたのでさっそく池をつくりました。湿地帯生物の専門家の端くれですので、やるなら良いものをということで色々と工夫しています。
2014年8月。池をつくりはじめたところ。まずだいたいの池の形をつくります。
そのままでは当然水は溜まりませんので、今回は遮水シート式で行くことに。色々と調べて「EVA タイガーシート」という商品を使ってみました。深めに池を荒堀りして、遮水シートをしいて縁にレンガを置いて固定します。シートは二つ折にして、すなわち二重にしています。
土をかぶせて、これで人工的な部分はほぼ見えない形となりました。ところがそのまま水を張ると、周囲の土に水が吸われていき、まったく水がたまらないということに気づきました。
そこで池の縁部を中心に粘土(スメクタイト)を練り込んで遮水することにしました。色々と調べて「バリアー2500」という商品を使ってみました。これによりかなり水が抜けにくくなりました。
後は適当に湿地帯の植物や土壌をとってきて池の岸部に張り付けたり、木を植えたりします。基本的に自宅周辺と同一水系のものとしています。書き忘れましたがこの池は屋根の雨どいの水が直接流れ込むような構造になっていて、一雨降ると写真右手前のパイプのところから水が噴き出します。そのため少し強めの雨が降るとすぐに池の水はいっぱいになります。池の右奥のところ、パイプがありますがそこからオーバーフローするようになっています。
模式図はこうです(2023年3月30日追記)。
2015年5月。だいぶ良い雰囲気になってきました。ずっとベランダとかで栽培していた色々な水草も植栽していきます。
2015年7月。かなり自然な感じで生育しています。理想とする湿地風景はかなりできてきました。この年から池にはカワバタモロコをいれてみたのですが、よく増えました。九州のカワバタモロコは「降雨により水没した植生の豊富な湿地で産卵する」という論文を自分で書いているので、同じ環境を再現したら増えないと困るのですが、ちゃんと増えたのであの論文で発表した内容は誤りではないことも証明できました。
今日の様子。すなわち2016年4月。当然のことながらこういう浅い湿地は放っておくとすぐに陸地化するので、どんどん手をいれる必要があります。湿地帯の植物は基本的に条件があえばものすごい勢いで成長して種子をばらまくので、その特性を理解していればガンガン引っこ抜いたり切ったりしても大丈夫です。
ということで今年はあんまり生物はいれずに、変遷を楽しみたいと思います。
2017年追記
2017年6月5日の様子です。浅くなってしまったので浚渫しました。
2018年追記
2018年9月21日の様子です。