湿地帯中毒

湿地帯中毒患者(末期)の日記です。

論文

Kamite, Y. (2015) Revision of the genus Optioservus SANDERSON, 1953, part 2: The O. maculatus species group (Coleoptera: Elmidae). Koleopterologische Rundschau, 85: 197-238.
ついに全国のヒメドロファン待望のセアカヒメドロムシ種群の分類学的研究が出版されました。この種群を10種に整理しており、なんとこの論文で日本から6新種を記載しています。すごい!そして一読すればわかりますがものすごい力作です。ということで以下にこのmaculatus種群10種を列記してみます。
Optioservus gapyeongensis JUNG, KAMITE & BAE, 2011(模式産地:韓国加平郡;分布:ロシア、中国、韓国)
Optioservus hagai NOMURA, 1958 ハガマルヒメドロムシ(模式産地:福岡県;分布:本州(中国地方)〜九州北部)
Optioservus inahatai KAMITE, 2015 (模式産地:徳島県;分布:四国)
Optioservus maculatus NOMURA, 1958 セアカヒメドロムシ(模式産地:山形県;分布:本州(中部地方以東))
Optioservus masakazui KAMITE, 2015(模式産地:鳥取県;分布:本州(中国地方))
Optioservus occidens KAMITE, 2015(模式産地:岐阜県;分布:本州(中部地方以西))
Optioservus ogatai KAMITE, 2015(模式産地:愛媛県;分布:本州(関東地方以西)、四国、九州)
Optioservus sakaii KAMITE, 2015(模式産地:愛媛県;分布:四国、九州)
Optioservus variabilis NOMURA, 1958 スネアカヒメドロムシ(模式産地:群馬県;分布:本州(中部地方以東))
Optioservus yoshitomii KAMITE, 2015(模式産地:鳥取県;分布:本州(関東地方以西))
以上となっています。このように整理してふと気づくことがあった貴方はかなりのヒメドロ通。そうです。これまで一般的にセアカヒメドロムシO. maculatusとして多くのヒメドロ屋が認識していたものは、実は本物のO. maculatusではなかったのです!
O. maculatusの模式産地にはかつて師匠と一緒に採集に行き、背中全面が赤い、まさに「セアカ」という模様の「スネアカ」を採ったことがありました。和名はまさにこのことを指していたのですね。色々と納得です。ということで私が師匠と発表した「福岡県のヒメドロムシ(PDF)」においてセアカヒメドロムシとしていたものは、実は本物のセアカヒメドロムシではなく、今回記載されたO. sakaiiということになります。
さて日本産ヒメドロコレクターとしてはこのうち何種が手元にあるのか?ということが気になるところですが、ざっと見てみますとハガマル、セアカ、スネアカに加えて、masakazui、occidens、ogatai、sakaii、yosshitomiiは採っているのではないかと思います。ということは日本産9種のうち8種は採ってるということになり、少し安心です。しかしながら残りの1種、inahataiは絶対採ったことないのですが、これはプレート写真を見る限り驚愕の超絶かっこいいヒメドロなので、絶対に捕獲せねばなりません。こんなのがまだ国内に眠っていたとは驚きです。
この論文によりセアカヒメドロムシ種群の魅力が多くの虫屋さんに認識されたでしょうから、大ブームが来る恐れも否めません。まだ未記録地域はたくさんあるはずですし、未記載種も眠っているかも。美しい模様を持ち、その模様の変異も多くコレクション性は高いですが、乱獲にはぜひとも注意していただきたいところです。

ということで、写真は福岡県産のOptioservus sakaii。この美しい姿をご覧下さい。体長は3ミリメートルくらいです。
あと、著者にはぜひとも日本産種には和名の提唱もしてもらいたいです。和名は多くの人がその生物に興味関心をもつきっかけになりますし、生物多様性の時代ですから、国民への知識の還元という意味でも重要です。