オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

当山昌直(1983)阿嘉島の動物の方言について.沖縄県立博物館総合調査報告書III−座間味村,pp.23-29.(PDF)
うろうろしていてたまたまみつけたのでメモ。こういった地方名を聞き取りで収集した文献では、わりと最近の絶滅種の記録を拾えることがあり重要です。この論文にはトカゲモドキのことがでており、興味深いです。最近阿嘉島トカゲモドキがみつかったという話は聞いたことがないので、すでに絶滅しているのではないかと思いますが、この論文では明治生まれの方に聞き取りを行い、写真を見せて確認しているので、わりと近い時代までは確実にいたようです。あとカマキリの遊び歌が楽譜とともに記録されていますが、とても面白いです。こういうのもいずれ消滅してしまいそうなので、きちんと記録しておくのはとても重要です。
さて、トカゲモドキについては最近、与論島からわりと最近の骨がみつかり、形態的に差異が認められることから新亜種ヨロントカゲモドキGoniurosaurus kuroiwae yunnu Nakamura, Takahashi et Ota, 2014として記載されたということがありました。
Nakamura, Y., Takahashi, A., Ota, H. (2014) A new, recently extinct subspecies of the Kuroiwa’s Leopard Gecko, Goniurosaurus kuroiwae (Squamata: Eublepharidae), from Yoronjima Island of the Ryukyu Archipelago, Japan. Acta Herpetologica, 9: 61-74.(PDF)
このヨロントカゲモドキはネズミ駆除を目的に人為的に導入されたイタチの捕食や、環境悪化などによって明治時代頃に絶滅したと考えられていますが、阿嘉島にもイタチが導入されその両生爬虫類相はかなり貧弱なものとなっているようなので、同じような状況なのかもしれません。
生物の絶滅を引き起こす要因として人為的な自然環境の破壊がもっとも重要なのは間違いありませんが、最後の息の根をとめるのはしばしば外来種であることも忘れてはなりません。イタチあるいはマングースなどの外来種の導入により人知れず絶滅した琉球列島の生物は思っているよりも多いのかもしれません。失われた生物は取り返しがつきませんし、非常に残念なことです。

沖縄島でみたクロイワトカゲモドキGoniurosaurus kuroiwae kuroiwae。たいへん感動したものです。