オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

外来生物問題について基礎から知りたい教科書的なものを知りたい、という意見がいくつか届きましたので、まずは以下の3冊を紹介したいと思います。他にも色々とためになる良い本は多くあります。
●西川 潮・宮下 直「外来生物: 生物多様性と人間社会への影響」裳華房
外来生物: 生物多様性と人間社会への影響
社会的な課題としての外来生物問題の教科書として、まずはこれが良いと思います。ちょっと専門的な部分はありますが、事例も豊富、出典も詳細、すべて科学的な研究結果に基づいて解説しており、とても勉強になります。

鷲谷いづみ・矢原徹一「保全生態学入門-遺伝子から景観まで」文一総合出版
保全生態学入門―遺伝子から景観まで
生物多様性保全とは何か、保全生態学の哲学を知る上ではこれが必読の書でしょう。20年前の本ですが、基礎というのはそうそう変わるものではないので、基礎として知っておくべき内容が多いです。

●日本生態学会 (編)「外来種ハンドブック」地人書館
外来種ハンドブック
外来生物各種がどんな生物でどんなことを野外でしでかすのか、という点でこの本もわかりやすいです。ぱらぱらと眺めているだけで面白い。図鑑的な楽しみ方もできますので、図鑑愛好家としてもお勧めです。
ということで物事を考える上では必ず「基礎的な知識」が必要です。これがないとどれだけ思考しても意見を組み立てても、「砂上の楼閣」です。外来種対策や生物多様性保全は科学的な知見に基づいて組み上げられた社会的課題なので、まずは今わかっている科学的な事実、そしてこの問題に関する基本的な考え方を知っておくと、建設的な議論ができると思います。
最終的には社会的な課題ですから、もちろん個人的に気に入らない、自分はそうは思わない、という部分は出てくるかもしれません。ただ、知っておくべき知識を知った上でないと議論が成り立ちません。持論を展開したいのであればまずは「お勉強」です。ぜひ多くの人に興味をもって欲しいテーマでもあります。