オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Polhemus, J.T., Polhemus, D.A. (2012) A review of the genus Hermatobates (Heteroptera: Hermatobatidae), with descriptions of two new species. Entomologica Americana, 118: 202–241.
2012年に出た論文ですが、本論文で日本産のサンゴアメンボが新種記載されていたことに気がつきました。サンゴアメンボはその名の通り、沿岸のサンゴ礁に生息する珍虫で、干潮時にはリーフ内の入り江を高速で泳ぎ回っていますが、満潮時にはサンゴの穴に潜り込んで水没して過ごすという驚異的な技をもっています。
そういう虫であることから世界の亜熱帯〜熱帯域に近縁種が分布しているわけですが、従来日本産種はオーストラリア近郊に分布するHermatobates weddi China, 1959とされていたものの、今回の研究で未記載種であることが判明し、新種として記載されたようです。ということで今後は
サンゴアメンボHermatobates schuhi Polhemus & Polhemus, 2012
となります。分布はトカラ列島与那国島ということですが、本論文によれば台湾〜ベトナムにかけても分布する可能性があるとのことです。確かにそれは可能性が高そうです。

こちらが沖縄本島産のサンゴアメンボ。オスです。オスは前脚が太く棘が目立ちます。細かい毛におおわれており、見るからに珍虫です。体長は4ミリほど。

こちらが生息環境。とても昆虫がいるような場所に見えませんが、サンゴアメンボやケシウミアメンボなどが暮らしています。