オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Hibino, Y., Tabata, R. (2018) Description of a new catfish, Silurus tomodai (Siluriformes: Siluridae) from central Japan. Zootaxa, 4459: 507-524.
日本の淡水魚にさらに新しい一種が加わりました。その名もタニガワナマズSilurus tomodai Hibino & Tabata, 2018です!
ナマズと言えばだれでもよく知っている髭のあるあの魚ですが、これまで国内にはナマズSilurus asotus Linnaeus, 1758、ビワコオオナマズSilurus biwaensis (Tomoda, 1961)、イワトコナマズSilurus lithophilus (Tomoda, 1961)の3種が知られていました。しかしTabata et al. (2016)による遺伝学的な研究により(リンク)、イワトコナマズから古い時代に分岐した謎のナマズ属が東海地方の河川上流域にいるらしいことが判明しました。その後研究が進み、このたび目出度く新種記載されたという流れになります。その謎のナマズの存在が論文上で知られてから約2年での記載ですので、これは最近の日本産淡水魚類の発見→記載のペースから考えるとかなり早いものと言えるでしょう。大変素晴らしいです。
同一の地域にはナマズも生息していますが、上顎の歯帯が基本的に中央で2つに分かれること(分かれない個体も確認されている)、腹面に模様があること、体型が細長いこと、卵が黄色いこと、などから区別できるようです。なお、和名の「谷川」は本種が主に山間の河川上流域に生息することから、種小名「tomodai」はビワコオオナマズとイワトコナマズを新種記載した友田淑郎博士に献名されたものです。和名・学名ともに素晴らしいです。
さて気になるそのお姿ですが・・日本各地で淡水魚採って遊んでいる私でもさすがにこのナマズは採ったことがなく、当然写真もありません。無念・・と思いきや、今回なんと特別に写真をお借りすることができました!

タニガワナマズ(写真/日比野友亮)

タニガワナマズ(写真/松尾 怜)
本種の発見は日本列島の生物多様性の実態がまだまだ未解明な部分が多いことを示していると思います。いつまでもこの特異なナマズが東海地方の川で生き残れるように、みんなで大事にしていきたいものですね。
写真を提供していただいた日比野さん、松尾さん、どうもありがとうございました。

おまけ
タニガワナマズについてのプレスリリース
琵琶湖博物館リンク)、三重大学リンク
新聞やらテレビやら
日本経済新聞リンク)、CBCテレビリンク