オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文:日本産新種のヨシノボリ

Suzuki, T., Oseko, N., Kimura, S., Shibukawa, K. (2020) Two new species of torrential gobies of the genus Rhinogobius from the Ryukyu Islands, Japan. Bulletin of The Kanagawa Prefectural Museum (Natural Science), 49: 7-28.(リンク

リンク先から誰でもPDFのDL可能です。じわじわと新種記載が進展している日本産ヨシノボリ属ですが、ついにヒラヨシノボリが新種として記載されました。従来ヒラヨシノボリは学名未決定のまま南西諸島に広く分布するという形になっていましたが、今回、これまでの遺伝学的な研究を背景として、形態的にも区別できることから2種として記載されました。ということで以下となります。

ヤイマヒラヨシノボリ Rhinogobius yaima Suzuki, Oseko, Kimura & Shibukawa, 2020

分布:石垣島西表島

ケンムンヒラヨシノボリ Rhinogobius yonezawai Suzuki, Oseko, Kimura & Shibukawa, 2020

分布:種子島屋久島、奄美大島、沖縄島

形態的な区別点は論文の方にものすごく詳細に記載されているのでご確認下さい。特に縦列鱗数、雄第1背鰭の長さ、腹鰭第5軟条の分岐などに違いがあるようです。入魂の力作でたいへん勉強になります。

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ということで手持ちに画像がないか探してみたところ、ケンムンヒラヨシノボリR. yonezawai がありました!大きいオスは黒ずんで、独特の平たい頭部と相まって魅力的な種です。実は個人的にあんまり縁のないヨシノボリですが(南西諸島の渓流に行くとヒメドロムシばかり探しているため・・)、次に生息地に行く機会があればぜひ出会ってみたいです。

さて、残る日本産ヨシノボリ属も少なくなってきましたが、今後の分類学的研究の進展が楽しみです。