コロナ禍の中で特に注目されている考え方が「ワンヘルス」。人と動物と環境の健康を一体で扱っていくという考え方で、色々な切り口がありますが、生物多様性保全はその柱の一つとして重視されています。
生物多様性条約のサイト内のこのページ
に掲載されているこの図では、もう生物多様性が完全に基盤になっていて私は好きです。
地方自治体では実は福岡県がかなり積極的に先行して施策を進めています。
福岡県の施策では6本の柱として整理していて、そのうちの3番目に「環境保護」つまり「健全で豊かな自然環境」を保全していくことを挙げています。
これはどうにか、県内の生物多様性保全においても実行力のある枠組みづくりにつながって欲しいと、個人的には思っています。
ワンヘルスについてはWWFの解説もわかりやすいです。
ということで、生物多様性保全はSDGs(持続可能な開発目標)の基盤であるとともに、ワンヘルス・アプローチの観点からも重要なものである、という位置づけにあることがわかります。社会的に生物多様性保全を取り巻く状況が20年前とは大きく変わりつつあるという近年の私の実感は、このあたりを根拠とします。それからこのワンヘルス、国内では日本医師会と日本獣医師会が引っ張っているというのは、これは強いのですよね。そこの視点から、わりとストレートに、環境の保全(生物多様性の保全)も重要、という見解が出ているのは、とても大きなことだと思うのです。
残念ながら国内の生物相の破壊の速度はまったく緩まず危機的な状況です。ただ、このように保全するための枠組みは20年前よりはるかに良くなっています。いずれ生物多様性は保全することが前提で、あらゆる面で社会の制度が変わってくると信じているのですが、その時に保全すべき生物相がほとんどなくなっているということになるのだけは避けたいものです。ということで、あの時やれることはやったと思えるよう、できる限り(死なない程度に)頑張って個別の保全案件に取り組んでいます。