オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

祝出版!

中島 淳・大童澄瞳(2023)自宅で湿地帯ビオトープ! 生物多様性を守る水辺づくり.大和書房,東京.

www.daiwashobo.co.jp

新しい本を出版しました!このブログを見ている方は、オイカワ丸が庭の湿地帯を楽しんでいることを折々観測していたと思うのですが(リンク)、その湿地帯づくりの経験を生かして指南書を出してしまいました。

 

今回表紙を見ていただくとおわかりの通り、アニメ化もしたあの人気漫画「映像研には手を出すな!」の作者である大童澄瞳さんと共著と言う形で、表紙&ミニ漫画&理想の湿地帯イラストを描き下ろしていただき、Q&Aコーナーの原案もいただきました。

bigcomicbros.net大童さんはご自宅にビオトープをもっており、実は”ビオトープ仲間”としてSNS上で親交がありました。そうした縁もあり、今回の企画への参加をご快諾いただき、本書ではその大童さんのビオトープも取材に行って詳しく紹介しています!

本書の構成は序章「初めの知識」、1章「つくってみよう!」、2章「素晴らしきビオトープ探訪」、3章「湿地帯ビオトープの生き物図鑑」となっており、湿地帯、生物多様性外来種、エコトーンというキーワードを軸として、「生物多様性保全につながる湿地帯ビオトープづくり」が「難しくなく押しつけがましくなくなんとなく理解できる」という内容を目指して作成しました。同時に、文字も大きめ、オールカラー、イラスト多め、ページ数は少なめ(142ページ)と言う点にはこだわり、内部のイラストやブックデザインは水生昆虫類に詳しいトガシユウスケさんに手掛けてもらいまして、大童さんの絵とあわせて非常にわかりやすく、読みやすくなっていると思います。ここ読んで欲しい!というポイントはいくつもあるのですが、どれか選べと言われれば、P34の「湿地帯ビオトープが生物を守る」の図と、P38の「ビオトープの方針を決めるためのフローチャート」はぜひ見て理解して欲しいです。

それから湿地ビオトープではなく、湿地「帯」ビオトープなのはなぜなのか?それはこのブログが湿地帯中毒だから、という身も蓋もないものではなく、湿地と陸地を結ぶ「帯」、すなわちエコトーンこそ重要というテーマを表しているものだからです(余談ですがこのタイトルは一般受けしないということで出版社内部では議論があったそうで、押し通して下さった担当編集のNさんのご尽力に感謝申し上げます)。

なお、私は淡水魚や水生昆虫の研究者でもあるので、そうしたあたりのマニアックさはなるべくちりばめてあります。そんなところもぜひ探してみてください。

 

私は幼少時から湿地帯生物を捕まえて飼育するのを趣味としていましたが、「池をつくる」というのは小学校の卒業文集の将来の夢欄に書いてしまっていた(普通ここはなりたい職業などを書く、らしい・・)くらいにこだわりがあり、将来どころか中学生の時につくってしまったのが上の写真の池です。しかしこの池、見てわかるとおり抽水植物が植えてあり(セキショウ)、エコトーンがあります!すごいぞ中学生のオイカワ丸!

そして引き続き今の家にも池をつくってしまったわけですが、冷静に考えると「日本三名園」と言えば水戸の「偕楽園」、金沢の「兼六園」、岡山の「後楽園」であり、その共通点は「池泉回遊式庭園」です。つまり湿地帯ビオトープをつくり鑑賞したいという欲望を持った人類は古くからいるのです。

ビオトープというのは実は適当につくってしまうと環境を破壊してしまう、ということが近年の色々な研究から明らかとなってきました。令和の今、どうせつくるなら環境に良いものを、どうせつくるなら生物多様性保全につながる湿地帯ビオトープをつくりたい、そんな人々のために書きました。皆さんも実はつくりたいのではないでしょうか。そして自宅に生物多様性豊かな湿地帯がある暮らしはとても良いものです。1ミリでも興味があればぜひ手に取っていただければと思います!