オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

清水孝昭・鈴木寿之・高木基裕・大迫尚晴(2011)沖縄島と西表島より得られたドジョウの形態的・遺伝的特徴.日本生物地理学会会報,66:141-154.
沖縄島と西表島のドジョウがどうやらそれぞれ別種ではないかという論文。遺伝的特徴に加えて骨質盤のスケッチと生体カラープレート写真も掲載されていて丁寧な仕事です。これまで日本のドジョウには遺伝的に明確に区別できるAグループとBグループがいることが明らかになっていますが、この論文ではさらにドジョウ沖縄島集団とドジョウ西表島集団の2種がいるっぽい、と報告されています。
これで国内にはドジョウが4種いるかもしれない、という混沌とした状況になってきました。国内にはまだ未知の個体群がいるかもしれません。トキの餌とかコウノトリの餌とかツルの餌とかいって、得体の知れないドジョウを放流することは、地域の生物多様性を大きく損なう可能性が高い行為であることを、多くの人に知って欲しいものです。どうしてもやるならば地元のドジョウを増やして放流!です。
余談ですが、実は西表島のドジョウについては同じような内容の論文を我々のグループでも作成していまして、すでに某誌に受理されていたのだけど、こっちが先に出てしまったということで、何とも残念です。ちなみに我々の論文の受理日は8月25日。こちらは論文受付日が9月20日、受理日が11月3日だから完全に我々の方が先なんだけどなー。まさか私の専門とするマイナー分野でこういうことが起こるとは思わなかったです。実は人工多能性幹細胞野並に熱い研究活動がドジョウ分野でも展開されているということでしょうか。なんか最先端の研究者みたい。