日本国内における特定外来生物オオクチバスの分布拡大はまだまだ続いていて、近年ではさらに同じく特定外来生物コクチバスの分布拡大も続いています。「分布拡大」と書いていますけれども、バス類の産卵生態から考えて、また純淡水魚類の一般的な移動能力から考えて、これらが鳥類による運搬や自力での分布拡大によるものとは考えにくく、様々な要素を多角的にみれば釣り人による密放流が続いていると考えざるを得ません。
外来生物法に基づき特定外来生物の放流は違法、すなわち犯罪です。 3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、もしくはその両方という厳しいものです。もちろん法律を守っている釣り人が大部分であることは間違いありませんが、一部に違法な放流を行っている釣り人がいることもほぼ間違いないと言えるでしょう。国内における密放流が強く疑われる事例については複数の報告がありますので、以下にいくつか紹介しておきます。ぜひ読んでみて下さい。
淀 太我・井口恵一朗(2004)バス問題の経緯と背景.水産総合研究センター研究報告,12:10-24.(PDF)
藤本泰文・星美幸・神宮字寛(2009)侵入直後のオオクチバスMicropterus salmoidesが短期間のうちに溜め池の生物群集に及ぼした影響.伊豆沼・内沼研究報告,3:81-90.(LINK)
角田裕志・満尾世志人・千賀裕太郎(2011)特定外来生物オオクチバスの違法放流 : 岩手県奥州市のため池の事例.保全生態学研究,16:243-248.(LINK)
大浜秀規・岡崎巧・青柳敏裕・加地弘一(2012)本栖湖に密放流されたコクチバス Micropterus dolomieu の根絶.日本水産学会誌,78:711-718.(LINK)
舟木匡志・東浜敬輔・久保田潤一・金本敦志・中村孝司・内田大貴(2021)都立野山北・六道山公園でのかいぼり後に発生したオオクチバスの違法放流について.魚類自然史研究会会報「ボテジャコ」,25:1-6.(PDF)
斉藤憲治・三塚牧夫・麻山賢人・藤本泰文(2021)宮城県伊豆沼・内沼集水域のため池で池干しによる駆除後に再び現れたオオクチバスMicropterus salmoides はどこから来たのか?.伊豆沼・内沼研究報告,15:107-120.(LINK)
尾山大知・柴田将司・中島 淳(2024)山梨県韮崎市のゲンゴロウ生息地における
特定外来生物オオクチバスの違法放流事例.ニッチェ・ライフ, 12:132-134.(LINK)
こちらはニュース関係
● 餌のワカサギまで密放流か…ため池で外来種コクチバスを「池の水ほとんど抜く作戦」で駆除 “ほぼ占領”判明 (東海テレビ 2023年10月4日6時17分)※岐阜県郡上市のため池
● 密放流か 特定外来生物「コクチバス」1021匹を駆除 業務妨害で漁協が警察に被害届(UTYテレビ山梨 2022年12月8日19時43分)※山梨市の琴川ダム
● 三重)やまぬ密放流、2度目の外来魚駆除 亀山のため池(朝日新聞 2016年10月16日 3時00分)※三重県亀山市川合町長妻池
● 釣り人「おれが外来魚を放流」 住民ら、怒りの池干し(朝日新聞 2013年9月8日12時37分)※三重県亀山市下庄町北山池
SNSで見かけた事例も
当方、違法な密放流を多数確認しております。
— forestthree/ビオトープの中の人 (@forestthree) 2024年12月26日
我々が新規造成したビオトープ池や管理、調査してきたため池に明らかに放流されたブラックバスがいます。
それがバサーや釣り業界によるものとは限りませんが、特定外来生物の違法な移動や放流は依然としてなくなっていないのが現状です。 https://t.co/MPj34qw9yn pic.twitter.com/JKZH6keNpP
'19年4月にもコクチバス1尾を小憎らしいことに、観察窓から確認。泥厚調査時に捕獲(体長6.5cm)した。'20年に始まった浚渫事業後は未確認。こういう密放流はバッサーでなく、ただの犯罪者によるに過ぎない。当地における被害拡大の可能性を思えば、国宝文化財を傷つける以上の犯罪ともいえる。 https://t.co/8wJR6jZmDe pic.twitter.com/hEaahUZVe3
— 水思魚語 (@SeiichiHarinko) 2023年8月15日
今回の悲しい1枚…
— けんや (@ftlh39) 2024年9月27日
誰やねんコクチバス逃したやつ!
この川に8年通って30〜40cmのコクチバス数匹が急に現れる訳ないやん…
許さん、来週、豪華メンバーで駆除しに行きます。 pic.twitter.com/xB1UXdaIqg
以前に国土交通省・河川水辺の国勢調査の結果に基づくコクチバスの人為的な分布拡大に関することをこのブログでも書きました。こちらもあわせてご覧ください↓
それからもう一つオオクチバス・コクチバスの再放流禁止の条例等がある都道府県のメモも以前にブログにまとめました。外来生物法では採集した場所への再放流は違法ではありませんが、都道府県によっては再放流も禁止されています。釣り人はこういう法令等はきちんと守らなくてはいけません。ちょっと情報が古い部分、リンク切れもありますが参考までにあわせて紹介しておきます↓
それからこちらは宮城県伊豆沼・内沼におけるオオクチバス駆除により在来種ゼニタナゴが復活したという事例↓
繰り返しになりますが特定外来生物の放流は「犯罪」です。禁固刑もついてくる重罪です。放流をみかけたらすぐに警察に通報して欲しいですし、知り合いが放流しようとしていたら、犯罪者になるのを止めてあげてください。こうしたことが続けば当然、ブラックバス釣りそのものの規制が社会的に選択肢になってくるはずです。バス釣り業界あるいはプロのバス釣り師も違法放流を止めるようもっともっと声をあげて欲しいです。



































