オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

新年度がはじまってずいぶんたってしまいました・・生きています。割合に時間もあるので、書き物やら何やらをしています。

湿地帯としての水田と農業用水路。平野部の農業用水路の多くはもともとの氾濫原湿地内の細流を改造してつくったものも多いので、ウナギを含む多くの湿地帯生物の重要な生息環境になってきました。上の写真のあたり(リンク)なんかは、氾濫原湿地内の細流をそのまま農業用水路に転用した感じがよく残ってますよね。あと水田が氾濫原湿地を改造してつくったものであるということもよく見えると思います。ところが農地の近代化で急速に環境が悪化し、こうしたところに暮らしていた湿地帯生物の多くが絶滅危惧種になってしまっています。例えば今後の公共事業の方向性として、三面コンクリ化された農業用水路を多自然水路に作り変えていくなんてのは、持続可能な社会を構築していく上で意味があるのではないかと考えたりもしています。農業の近代化にはそうしたコンクリ水路への改造が必要であったということはよく理解しています。ただ、こうなったからにはその中間をとっていく対策は必要だと思うわけです。

本来の氾濫原湿地は国内にはもうほとんど残っていませんが、グーグル様の力を使うとアムール川にある素晴らしい湿地帯を見ることができます(リンク)。関東平野とか大阪平野とか福岡平野とか、もともとはこうした湿地帯の縮小版みたいなものだったのでしょう。出水ごとにその位置を変える本流と分流。本流は分流に分流は本流に。かつての川の跡地に無数の池沼。数ヵ月前にできた湿地帯から、数年前にできた陸になりかけている湿地帯。そしてそれぞれの湿地帯に適した湿地帯生物がそれぞれの湿地帯であふれかえる世界。素晴らしいですね。当然、こうした湿地帯をいまの日本の平野部で再生することは不可能ですが、もう少し湿地帯生物と共存する仕組みはできるはずです。このまま環境破壊を続けて生物を減らし続けていくと、回転寿司の種類が一品ずつ減って行って、最後にはキュウリと卵だけになってしまうでしょう。そんな未来が嫌な人は、ぜひとも生物多様性保全に興味をもってもらいたいです。