オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

中国の風景

来週が忙しそうなので今週はおとなしくデスクワークしてます。本日は中国でみた湿地帯の風景を紹介します。

海ではなく長江の河口です。対岸は見えませんが。筑後川河口と同じ色でした。エツの仲間やシラウオの仲間などが泳いでいるのでありましょう。

長江河口の中洲(といっても奄美大島くらいあるようです)には縦横無尽に水路があります。バラタナゴやツチフキ、ドジョウなどがいました。

シャンハイガニの養殖場件水田。稲の周辺の植物をカニが食べるそうです。

長江の右岸側には太湖という有名な湖があります(有明海くらいの広さ)。その周辺にも無数に湖沼がありまして、その湖沼同士は無数の水路で接続しています。

周辺湖沼も一つ一つは大概大きい。湖岸は水草が豊富です。

トチカガミやヒシ類はどこでも多いです。メダカなど魚も多いのですがこれほどの環境で昆虫は驚くほど少ないです。
全体的には有明海周辺の通称クリーク地帯をより大きく複雑にしたような風景でした。約2万年前の最終氷期のころは今よりも海水面が100m以上下がっていたと考えられています。ということは有明海自体にこのような湖沼を伴った湿地帯があったのかなと想像しています。この頃は九州北西部の諸水系が大陸の諸水系と接続していたのでは、という考えもあるようですがたしかに共通種もいるものの、個人的には完璧に接続していたということはないと考えています。それでも湖沼性ワタカの仲間やチョウセンブナ、タウナギなどの種類は九州にもいたのではないかと思っています。その後の8000年〜6000年前のいわゆる縄文海進の時期にこれらの低湿地の止水にしか住めない多くの大陸系の淡水魚類の生息環境が完全に消滅して、これらの魚種も跡形もなく絶滅したのではないでしょうか。ここらあたり今書いている論文でも少し触れたいと思っていて、古地理とか地質とかの文献を集めているところです。今回大陸の大規模な低湿地帯を目の当たりにして、色々と思うところがありました。