オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

淡水魚類地理の自然史―多様性と分化をめぐって
淡水魚類地理の自然史―多様性と分化をめぐって
出るのを楽しみにしていた本が出版されました。隣の席の人が2冊持っていたのでイーナーイーナーとか言ってたらくれました(ラッキー)。私は生物の分布様式が好き(ようするに古典的な生物地理学が好き)ということもありますが、個人的にリスペクトしている京都大学のW先生が編者の一人という点でも読まざるを得ない内容です。
淡水魚類は移動能力が低く一般的に同種であっても地理的な遺伝的変異が大きいという特徴があります。また大陸島である日本列島は純淡水魚類の種数が多く、さらに過去の大陸との接続様式や山塊の隆起などの複雑な地史がかなりのレベルで明らかになっていることから、淡水魚類の系統地理学を進展させる上で非常に興味深いフィールドと言えるでしょう。
この本では日本の淡水魚類の系統地理学を今まさに進展させている若い研究者が多く参加しており、その点も熱いです。日本の淡水魚類相がどのように出来てきたのか、また近所の淡水魚類は遺伝的にどのようなグループに入るのか、など研究者でなくても面白いと思います。年末年始はこれを読んですごします。つぎの論文を書く際にもとても参考になりそう。よく見たら私の論文が一つ引用されてた。ワーイワイ。