オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

宮崎佑介・松崎慎一郎・角谷 拓・関崎悠一郎・鷲谷いづみ(2010)岩手県一関市のため池群においてコイが水草に与えていた影響.保全生態学研究,15:291-295.
昨日からコイコイ言っていたのでコイの論文でも紹介します。特に背景で、コイが生態系に与える影響についての最近の研究が簡単にレビューされております。すなわち、近年科学的な観点からコイ放流がどう評価されているのか、が日本語でまとまって記述されており理解しやすいです。コイを愛するすべての人に読んでもらいたい論文です。
内容については記載的な調査報告ですが、コイが野外で水草に与えている悪影響の一端をうまく捕らえていると思います。私も以前に水草(エビモ、クロモ、ホザキノフサモ)と水生昆虫(小型ゲンゴロウ類、ガムシ類)の多産する池に、ある年大量のコイ稚魚が放流され、その次の年に水草が消滅し、水生昆虫がアメンボしかいなくなり、さらにその数年後に池干しされてコイが取り出され(大きくなったので持ち主が回収?)、その一年後にものすごい密度で水草が復活し、水生昆虫は復活しなかった、というのを見た経験があります。
きちんとしたデータをとっていたわけではないので、コイのせいだと断定は出来ませんが、当時周囲の環境は一切変化なく、コイの出入りとともに水草相と水生昆虫相が劇的に変化したので、恐らくコイのせいなんだろうと今でも思っています。
ため池の生態系を破壊する原因としてアメリカザリガニも最近かなり注目されていますが、コイもかなりの戦闘力であると思います。要注意です。