オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Sekiya, K., Ohtani, H., Ogata, M., Miura, I. (2010) Phyletic diversity in the frog Rana rugosa (Anura: Ranidae) with special reference to a unique morphotype found from Sado Island, Japan. Current Herpetology, 29: 69-78.
ツチガエルの核型とミトコンドリアDNAの部分塩基配列を調べた系統地理論文です。うわさの佐渡のキイロイハラノツチガエル(仮)についても、その遺伝的背景の一旦を明らかにしています。佐渡島には黄色い腹のツチガエルと普通に白い腹のツチガエルがいて、鳴き声なども異なることが知られていますが、この論文を見るとその2型は遺伝的に明瞭に区別できるようです。この2型は狭い島内にいるので、普通に別種と考えても良さそうです。
でもこの論文、それだけではなくて日本のキイロクナイハラノツチガエルもそもそも1種ではなく、核型と遺伝子の特徴から4型に区別できることを示しています。論文中では今回の結果を踏まえて、普通の白い腹のツチガエルを関東型、西日本型、XY型、ZW型と区別して記していますが、黄腹型も含めてこれら各型の分布域がどのように形成されてきたのかが考察されていて色々と妄想が膨らみます。これ面白いです。

前に佐渡で撮影した黄色い腹のツチガエル。普通種にもまだまだ新しい発見がありますね!日本列島の生きものは本当にすごいんですよ。みんなで大事にしましょう。