オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

今日は福岡市科学館(リンク)に行ってみました。2017年に九州大学六本松キャンパスの跡地に新しくできた施設です。全体的に色々と工夫された展示が多くて、ポン氏も大変喜んでいました。たまたま遠隔操作型ロボットのサッカーの試合が行われていて、特にそれに熱心に見入っていました。子供もたくさん来ていて、この科学館を通して科学好きな子供がたくさん育ってくれることを期待したいです。私もだいぶ楽しみました。おすすめです。

で、こうした施設に行くと当然のことながら自分の専門分野が気になります。福岡市の自然コーナーはスペース的にはかなり広くあり、それは良かったです。ただ、生物多様性についてはもう少し努力して欲しいなという感じがします。もっと本気で子供たちに興味をもってもらう方向で取り組んでもらいたいです。特に一部に水槽を置けそうなコーナーが不自然に空いていました。そこにはぜひとも水槽を置いて欲しいです。福岡市と言えば博多湾が模式産地であるチクゼンハゼ(筑前の名を冠するハゼ!)も紹介して欲しいですし、やはりハカタスジシマドジョウも紹介して欲しいです。

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パネルにはカマツカは入っていたので、まあそれは良しとしましょう・・。生物部分の監修はどなたがしているのですかね。福岡県内には専門家も多いので、ぜひとも適切な監修者に入ってもらいたいものです。

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それから気になったのがこの展示。干潟の模型なわけですが、トビハゼのフィギュアが完全に水中で群れをなしていました。人が近づいてきて水の中に入った瞬間をとらえた設定という可能性もわずかながら残りますが、やはり不自然です。水際やヨシ原内など陸地に設置すべきでしょう。ここも残念でした。

前述したように「福岡市の自然」部分にはかなりスペースはあり、今後の展開に期待したいです。持続可能な社会の構築には生物多様性保全が必須です。人間が滅んでしまえば工学も物理学もそれらを基盤にした科学技術も何もかも意味がありません。豊かな人間社会の構築において、生物学こそが基盤です。そうした部分をぜひ「科学館」で伝えて欲しいものです。

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六本松自体にもものすごく久しぶりに来たわけですが、私が学生時代に学んだキャンパスの面影はほとんど残っていませんでした(わずかに残されていた数本のクスノキは当時のものでしょうか)。これも時の流れで、残念なことですが、人間社会というのはこういうものでもあるのでしょう。この地にあった九州大学生物研究部の部室が、今の自分の研究者としての開始地点であったと思っているのですが、それは跡形もなくこの世から消え去ってしまっていることを実感しました。