オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

湿地帯ビオトープの岸際の構造

おかげ様で「自宅で湿地帯ビオトープ!(リンク)」多くの方に読んでいただき、各所で湿地帯がつくられているようです。そのため質問もいくつかいただいていますが、特に岸部の構造について2つ、こちらで解説したいと思います。

まず1つ目はシート式湿地帯ビオトープの水際です。土質にもよるのですが、けっこう水を吸われてしまうことが多く、その場合は水際の遮水処理が重要となります。以下代表的な3つの水際です。

Aは何も遮水しないパターンで、もともとが粘土質の土地ではこれでも十分に水が維持されます。そうでない場合はCのように水際の少し遠い場所にベントナイトと混ぜた土を入れ込み遮水するのが良いです。

これらの方法は岸際の傾斜が十分に緩く確保できる場合は良いのですが、急傾斜だと土が落ちてしまってなかなか難しいです。また、無理に周囲をすべて緩傾斜にすると、池の体積が小さくなりすぎてしまいます。そこで、その場合はBのように思い切って水際に接する部分をシートにしてやる(つまりむき出し)と、良いです。上に盛り土をして十分に植生が繁茂すると、見た目はまったくわかりません。ただしすべての周囲がBだとエコトーンができませんので、どこか1面は必ずAかCのように底から続く緩い傾斜のエコトーンをつくる必要があります。


2つ目は既存の垂直人工護岸にエコトーンをつくる方法です。以下です。

上から底まで土をいれて斜面をつくっても良いのですが、深い場合はなかなか難しいですし、池が小さいとこれだけで浅くなってしまいます。そういう場合は何かで平場をつくって、途中から斜面をつくりエコトーンをつくるという方法が良いです。ここではブロック等を用いる方法を示しています。周囲に土があるなら表層にはそれを用いた方が、湿地帯が早く成長します。

 

湿地帯ビオトープにおいてエコトーンはきわめて重要なのですが、一方で、可能な限り水量を確保するということも重要です。緩傾斜というのは面積を食ってしまうので、大きさによってはエコトーンばかりになって浅くなり水部分の体積がとれなくなってしまうという問題が生じます。さらに遮水に失敗するとそもそも水がたまりません。そこで考えるべきが上記のような岸際の構造となります。しかし最も大事なのは陸から水域にかけて一つながりの緩やかな傾斜構造です。すべては無理でも、一部分でも、必ず、こうした緩傾斜のエコトーン構造をつくっていくことが重要ですので、ぜひ工夫してみて下さい。