オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

今年に入ってから毎日だいたい朝6時半に起きてローカル局のニュースなど見ながら出かける準備をしています。今朝は「福岡で外来生物が大木を食い荒らしている」という事件が特集されてました。まあ結論からいうとその外来生物ヤシオオオサゾウムシで、今年になって福岡市周辺でかなり猛威をふるっているようです。外来種なんだから官民一体となって駆除しなくては!と盛り上がっていましたが、そもそもこいつらが好んで食するフェニックスヤシも外来種のような・・まあいいか・・
それにしてもヤシオオオサゾウムシ・・なつかしい響きです。アジアの熱帯域が自然分布域の本種は、福岡県では2000年に能古島で初めて見つかりました。その福岡県第一号を採ったのは何をかくそうこの私です。あのころは学部三年で(今と違って)色々な昆虫を採りまくっていました。浜辺で長竿を持ってフラフラしていたところ、ありえないオレンジ色をした巨大な甲虫がブーンと飛んできました。反射的にスパッと網をふったところガチンと網の縁に当たって(←下手・・)、ボトッと落下したのですが、落ちたそれをのぞきこんだところ、そこには図鑑で見たことのあるヤシオオオサゾウムシが蠢いていて、ひどく興奮して捕まえたのを今でも鮮やかに覚えています。
その後、島内のフェニックスヤシに大発生しているのを確認して、その辺のおっさんにチェーンソーで伐採してもらって、ぎっしり幹につまっていたピンポン玉大の幼虫をバケツ一杯捕獲して持ち帰りました。生物研究部の皆で調べたところ、その幼虫は東南アジアでは重要なタンパク源である、との情報を得たので、その幼虫を肴に飲み会を開催したのを覚えています。塩焼き、ホイル包み焼き、コンソメスープ・・などなど様々な調理法でその幼虫を調理し、どれがベストかを議論しました。途中、鼻血を出す者あり、ジンマシンが出る者あり、と学生時代の飲み会の中でも最高峰の盛り上がりを見せたのを懐かしく思い出します。
さらにその発見が元ととなり、当時九大昆虫学教室に在籍していたゾウムシ専門家のY武さんらと共著で2001年に「福岡県におけるヤシオオオサゾウムシの発生とさらなる北進の可能性について.九州病害虫研究会報,47:145-150」という論文をまとめたという後日談まで付属しています。何気に私の初学術論文だったりもする・・。とまあ朝からそんなニュースを見て色々思い出しました。

当時誰かに撮ってもらったヤシオオオサゾウムシの写真デス。害はともかくデカイ!キレイ!カッコいい!と3拍子そろっており、熱帯の甲虫の魅力を十分に備えた逸材です。