オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

本日はデスクワークの一日。12月ですが野外もちょこちょこ出ています。クニマス関係について各所で盛り上がっていますが、こちらの先生のブログ記事が今後の問題点等含めてわかりやすく解説してあります→リンク
こちらで指摘されている通り、絶滅していたはずのクニマスが見つかった、という点では喜ばしいことですが、西湖では田沢湖からの移入種、すなわち国内外来種ということになります。今回のクニマスの件は、絶滅したとされていた魚が別の場所で生き残っていたという部分以外にも、国内外来種問題、再導入問題、田沢湖で絶滅した経緯などなど、その背景にある大きな様々な問題点について議論する良い機会だろうと思います。また、希少種を生息地外に放流することを肯定するものでは決してないので、単なる美談として受け取られ、勝手に希少種放流軍団とかが現れないことを祈っています。
ちなみに環境省レッドリストを紐解けば、淡水魚類では絶滅種としてクニマスOncorhynchus nerka kawamuraeのほかにチョウザメAcipenser medirostris、ミナミトミヨPungitius kaibarae、スワモロコGnathopogon elongatus suwaeが挙げられています。チョウザメは回遊魚なので川が良くなれば戻って来るでしょうか。ミナミトミヨは湧水依存だし近畿だから無理かな・・という気がします。スワモロコは果たして・・。今後の研究に期待したいところです。
そして独立種かどうかはさておいて、多くの資料に掲載されていながら無視されているかわいそうなドジョウも忘れないで下さい。それはスジシマドジョウ小型種淀川型とされているものです。1980年頃の採集例を最後にひっそりと消息を絶っています。最近の論文では遺伝的に山陽型や琵琶湖型と明瞭に区別することは難しいという結果が示されていましたが、少なくとも模様の特徴などは他地域の小型種群とは異なり、まさに淀川で進化をしようとしていたその矢先に人間に絶滅させられてしまったとも言えます。

ちょうど現在標本をレンタルしているところでしたのでその画像をば。標本でありながらなんとも言えず妖艶であります。生きているのを見てみたいです。ひょっとしてどこかでひっそりと生き残っているのではないかという期待も常に持っています。ただ昨年にちょっと調査をした限りでは少なくとも以前いた場所にはもういないでしょう。ああかわいそうに。誰か見つけたら教えて下さい。