オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Sakai, H., Amano, S. 2014. A new subspecies of anadromous Far Eastern Dace, Tribolodon brandtii maruta subsp. nov. (Teleostei, Cyprinidae) from Japan. Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series A (Zoology), 40: 219-229.
中村守純が日本のコイ科魚類(1969年)で指摘していた、日本海側と太平洋側の「マルタ(ジュウサンウグイ)」の形態的差井と分類学的問題点について、ついに分類学的な論文が出ました。
日本海側のものは基亜種ジュウサンウグイTribolodon brandtii brandtii (Dybowski, 1872)、そして太平洋側のものが今回新亜種として記載されたマルタTribolodon brandtii maruta Sakai & Amano, 2014となります。
ジュウサンウグイの方は日本では青森県から富山県、国外では朝鮮半島からロシアの日本海側に広く分布しています。一方で、マルタの方は岩手県(大船渡湾)から東京湾までの間に分布する日本固有亜種のようです。この2亜種は鱗数の組み合わせで区別できるようなので、いつかそれっぽいものが手に入ったら数えてみたいです。遺伝的にもこの2亜種は明確に区別できることが先行研究で知られています。
しかしこの魚は私の住む九州では実に縁遠い魚です。マルタなんて中学生の頃に相模川の河口で釣ったくらいしか記憶にありません。当分出会うことはないでしょう・・。