オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

以前に発表した論文「福岡県における純淡水魚類の地理的分布パターン」で使ったデータを少し新しくしてちょっと資料を作成。

主要河川について純淡水魚類相の類似性から分類した樹状図です。今回はマルチスケールブートストラップ法を使ってAU値とBP値も計算してみました。高い信頼性で明瞭に2つのグループにわかれます。

それぞれの川のだいたいの位置はこのとおり。三郡山地・英彦山地を境界として、その東西で純淡水魚類の種組成が異なることがわかります。これは、響灘流入河川(遠賀川、紫川)はまっすぐ日本海側に抜けていたか、あるいは瀬戸内側の河川と合流して太平洋側に流れていた歴史があり、一方で博多湾流入河川は東シナ海の方に流れて、有明海流入河川と合流していた歴史があるのが理由のようです。すなわち同じ日本海側で隣接した川どうしなのですが、博多湾流入河川(多々良川、那珂川室見川)は響灘流入河川(遠賀川、紫川)と直接つながったことがほとんどないのです。
ひとつの県内ですが東西でその純淡水魚類相の成立様式は大きく異なります。もちろんこの地理区分をまたいで分布している種も多くいます。そういった種のいくつかは東西で遺伝的な特徴が異なることも知られています。いずれも数十万年もの歴史の積み重ねです。さらに、細かく見ていくと川ごとにも独自の特徴があります。したがって適当にメダカとかオイカワとか持ってきて放流したりしてはイケナイのです。