オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Kawase, S., Hosoya, K.(2015) Pseudorasbora pugnax, a new species of minnow from Japan, and redescription of P. pumila (Teleostei: Cyprinidae). Ichthyological Exploration of Freshwaters, 25: 289-298.
ウシモツゴの新種記載と、シナイモツゴの再記載論文。伊勢湾周辺水域に分布するあの有名なウシモツゴについに学名がつきました。従来、東日本に産するシナイモツゴの亜種という位置づけでしたが、詳細な形態学的検討の結果、別種としての記載です。進化的背景からみても、妥当な判断ではないかと思います。模式産地は岐阜県長良川水系です。学名はラテン語で「好戦的な」という意味だそうで、別名ケンカモロコとも呼ばれるウシモツゴのオスの攻撃的な性質にちなんだ学名だそうです。これは良いですね。ウシモツゴは現在、自然水域ではまずみることができないほど危機的な状況にある魚です。環境省レッドデータブックでも絶滅危惧IA類にランクされています。正式な名前がついたことを契機に、本種の生息状況の改善が進むことを期待しています。
論文はオープンアクセスなので見ることができます→PDF直リンク
精緻なスケッチ、写真家内山りゅうさんのカラー生態写真も載っていて図をみているだけで楽しいです。