オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

馬場友希・谷川明男(2015)クモハンドブック.文一総合出版クモハンドブック
クモファン待望の図鑑!大学時代に生物研究部でしのぎを削った盟友馬場君の図鑑です。図鑑の冒頭にあるように日本産クモは約1600種もいるのですが、そのうち身近な(本州、四国、九州の平野部)かつ区別しやすい100種類に絞って掲載し、解説した図鑑です。このような某大な種数がいる分類群をモノにするには、まず身近な種類を完璧に覚えておくことが肝になってきます。したがって、これはまさにクモをこれから始めよう、あるいはより高い(クモの)ステージに行きたいという方にうってつけの図鑑と言えましょう。神レベルのお二方が選んだ100種とは何か、これを知るだけでもお勉強になるでしょう。
内容は一種ずつ白バックの生体写真、しかも雌雄を並べて、さらに生殖器の図まで掲載して解説、ということでさすがに内容は簡潔ながら完璧です。写真がきれいなので、クモという生物の魅力も余すところなく伝わってきます。ハエトリグモのモフモフ感と愛らしさは素晴らしいものがあります。またコラムではクモのハイレベルな小話が満載で、クモの雑学もついでについてきます。もちろんセアカゴケグモ等、気になる話題のクモについても載っています。ということでたったの1500円というのが安すぎる気もしますが、一家に一冊、おススメいたします。

ちなみに某クモの画像を提供したり、僭越ながら少しコメントしたりしたため、謝辞に私の名前が!どうもありがとうございます。私も仕事上、セアカゴケグモ絡みでクモと接することが多いのですが、とにかくクモという生物に対する世の中の無知・無理解に悲しい気持ちになることが多いです。セアカゴケグモはやや強い毒があり、外来種であり、駆除対象となるのは止むを得ませんが、問題はクモというだけで殺される無実のクモが多いことです。クモは肉食性の生物であり、衛生害虫や農業害虫を多く捕食して生態系のバランスを保っており、むしろ人間にとって味方となる生き物です。多くの人がこの図鑑を読んで、世間でのクモに対する偏見が少しでもなくなればなあと、思いました。そしてそれが可能になるかも、と思わせる図鑑です。