オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Hayashi, M., Ohba, S. (2018) Mouth morphology of the diving beetle Hyphydrus japonicus (Dytiscidae: Hydroporinae) is specialized for predation on seed shrimps. Biological Journal of the Linnean Society: online first (LINK)
水生甲虫界の巨頭であられる林成多さんと大庭伸也さんによる共著論文です。ケシゲンゴロウ幼虫の顎の上にある謎の天狗の鼻状の突起は、なんとカイミジンコを専門に捕食するために利用される器官であることを明らかにしました。スゴイ!
著者の林さんが詳しい解説をすでに書かれているので、これを読めば内容は十分であります→リンク
さらに同じく著者の大庭さんも長崎大学からプレスリリースを出してくれています→リンク
こうして著者が詳しい解説をしてくれるのは本当にありがたいですね。。
それにしても身近な生き物にもまだまだ謎が多いです。ちなみにケシゲンゴロウはかつては普通種でしたが、近年減っている地域も多いことが知られています。この特殊な捕食生態により繁栄したものの、何らかの理由でカイミジンコが減少しつつあり、その影響を受けているのかもしれません。なお、ケシゲンゴロウ幼虫はカイミジンコしか食べない、というわけではなく、一方で他のゲンゴロウ類の幼虫もカイミジンコを食べることもあるそうです。生物間の相互作用は複雑で繊細です。こうした研究からも色々なことを考えてしまいますね。。

ちなみにケシゲンゴロウの成虫は丸くて美しい斑紋のある個性的なゲンゴロウです。池沼や水田などでみられます。