オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

特定外来生物コクチバスの国内での分布拡大について、河川水辺の国勢調査の結果から、メモ、です。

国土交通省が実施している「河川水辺の国勢調査」の結果から令和元年度版の「魚類調査の概要(リンク)」をみると、コクチバスは毎回確認河川数が増えているというデータが示されています(0→3→5→11→20→24)。

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同様に国土交通省が実施している「河川水辺の国勢調査ダム湖版」の結果から令和元年度の「魚類調査の概要(リンク)」をみると、コクチバスは毎回確認ダム数が増えているというデータが示されています(0→0→2→7→9→13)。

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コクチバスはいわゆる「ブラックバス」の仲間で、同属のオオクチバスが主に止水性なのに対して、本種は流水性であることが知られています。そしてオオクチバスと同様に外来生物法に基づく特定外来生物に指定されています。すなわち移動や放流は犯罪という状況にあるわけですが(罰金や禁固刑もありうる厳しいものです)、これらの結果はいずれも人為的な違法な放流が続いていることを示唆していると考えられます。オオクチバスの生態系への悪影響は相当おおきなものですが、コクチバスは流水性であることから全国的に広がるとアユやオイカワなどの水産資源にもオオクチバス以上の悪影響を与えると考えられます。この状況は非常に問題で、何らかの対策が必要です。

追記です。昨年に淡水魚の卵を鳥類が運んで移動する、という研究論文が発表され話題になりましたが(LINK)、この研究で報告されたのは浅い場所に粘着卵をばらまくタイプの魚(コイとフナ)です。バス類のようにやや深いところで底質に卵を付着させ、しかも親がそれを守るタイプの産卵生態の魚の卵が同様に鳥類に運ばれるということは、きわめて考えにくいです。バス類の分布拡大について説明すると、「鳥が運んだのでは?」という意見がしばしば出ますが、少なくとも現時点ではその可能性はきわめて低く、現在の国内での異常な分布拡大は人為的な違法なものによる可能性が高いと私は考えています。