「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産の登録が決定したとの報道がありました。この4島は私も何度も行ったことのある大変思い入れのある場所です。その素晴らしい生物多様性の価値が認められたということで、大変うれしいです。
ということでこれら地域の固有種として、ヒメドロムシ科から14種紹介したいと思います!
アマミハバビドロムシDryopomorphus amami Yoshitomi & M.Satô, 2005(奄美大島)
アマミヨコミゾドロムシ Leptelmis torikaii Kamite, Yoshitomi & Hayashi, 2017(奄美大島)
ノムラヒメドロムシ Stenelmis amamiensis (M.Satô, 1964)(奄美大島、沖縄島、渡嘉敷島)
リュウキュウアシナガミゾドロムシ Stenelmis hayashii M.Satô, 1999(奄美大島、徳之島、沖縄島、伊平屋島)
アカハラアシナガミゾドロムシ Stenelmis hisamatsui M.Satô, 1960(奄美大島、徳之島、沖永良部島、沖縄島、伊平屋島、渡嘉敷島)
アマミミゾドロムシ Ordobrevia amamiensis (Nomura, 1957)(奄美大島、沖縄島、伊平屋島、久米島、西表島)※沖縄島以南は別亜種もしくは別種?
ナガツヤドロムシ Zaitzevia elongata Nomura, 1962(奄美大島、徳之島、沖縄島、伊平屋島、久米島)
マルナガアシドロムシ Grouvellinus subopacus Nomura, 1962(奄美大島、徳之島、沖縄島、伊平屋島、渡嘉敷島、座間味島、久米島)
サトウカラヒメドロムシ Sinonychus satoi Yoshitomi & Nakajima, 2007(奄美大島、渡嘉敷島、座間味島)
ヤエヤマアシナガミゾドロムシ Stenelmis ishiharai M.Satô, 1964(石垣島、西表島)
ヨナグニアシナガドロムシ Stenelmis aritai M.Satô, 1964(西表島、与那国島)
アリタツヤドロムシ Zaitzevia aritai M.Satô, 1963(石垣島、西表島)
ヤエヤマツヤドロムシ Zaitzevia yaeyamana M.Satô, 1963(石垣島、西表島)
サトウナガアシドロムシ Grouvellinus babai satoi Jeng & Yang, 1998(石垣島、西表島)
素晴らしいヒメドロムシたち。世界自然遺産の重要な構成要員として、今後も大事にされていって欲しいです。
さてその一方で、登録に伴う「危惧」というのも存在します。具体的な意見を2つ紹介しておきます。まずは世界自然保護基金(WWF)↓
それから日本自然保護協会(NACS-J)↓
これらの団体が指摘している危惧は非常にもっともなものです。こうした問題があること、そしてこうした問題を避けるべきであること、はぜひとも色々な立場の方がきちんと認識しておくべきでしょう。
私の個人的な経験からすれば、少なくともこの4島における止水性の湿地帯環境の荒廃は、この10数年ひどいものでした。このままでは、ゲンゴロウ類をはじめとする止水性昆虫の多くがさらに絶滅していくでしょう。このままではだめです。しかし再生は可能です。この登録を真の再生につなげて欲しいです。私は個人的には今回の自然遺産登録は良かったと思っています。この登録をなんとか湿地帯の保全と再生の機会に。本当に重要な局面です。関係者の方、力を持っている研究者の方、よろしくお願いします。この自然遺産登録が確実な生物多様性保全の加速につながるよう願っております。