Katayama, Y., Sawada, N. (2024) Integrative taxonomy revealed a new species of Lefua (Teleostei, Nemacheilidae) from Fukui Prefecture, Japan. Evolutionary Systematics 8(2): 247-260.
evolsyst.pensoft.net「日本のドジョウ」が一種増えました!フクドジョウ科ホトケドジョウ属の新種・レイホクナガレホトケドジョウLefua nishimurai Katayama, 2024です。種小名は本種の特異性に気づいた日本産淡水魚類愛好家の西村俊明氏に献名されたものです。西村氏は日淡会というその筋では有名な淡水魚類解説サイトの主催者で、私も何度かお世話になっております。
拙著「日本のドジョウ」では一切触れられていない、つまり近年までまったく知られていなかったドジョウです。タイプ産地は福井県福井市の九頭竜川水系。実はこの「種」についてはじめて報告したのは何をかくそうこの私で、以下の論文です。発見者の西村氏らと共著という形で、「ナガレホトケドジョウ嶺北集団」として、変わった集団がいるよということを遺伝子の特徴を中心に報告したものでした。
その後色々と事情もありまして、分類学的研究は若い方にお任せすることとなりました。幾多の苦難を乗り越えて、今回無事に新種記載論文が出版されるに至ったものです。結果的に遺伝学的な背景・情報もより詳細になり、その独立したタクソンとしての妥当性はより補強されているのではないかと思います。
実はこの春に発見者の西村氏と今回記載論文を発表した片山氏にご案内いただき、生息地の状況を調査してきました。
はじめて自力で捕まえた個体がこちら。大型で圧倒的な迫力でした(この個体は撮影後に逃がしました)。非常に個体数も少なく、生息地点も限られ、希少な淡水魚であることは間違いないようです。この素晴らしい淡水魚が、採集圧によって絶滅するなどということがあってはなりません。現地に行ったとして、できれば観察に止めて採集はしないで見守っていただければと思います。学名もついたところで、地域の財産としていつまでも生き続けられるよう、みんなで保全して行ければと思います。