オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

調査から帰り着きました。ここ3日間は前研究室の先生のお手伝いで、昨年から継続している、歴史ある水路の生物相調査でした。ここは文化庁重要文化的景観に選ばれている場所で、台地の間を縦横無尽に走るトンネル水路と棚田で構成された素晴らしい景観を有する場所です。重要文化的景観とは、文化庁のサイトにある文章をそのまま引用すると「地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された次に掲げる景観地のうち我が国民の基盤的生活又は生業の特色を示すもので典型的なもの又は独特のもの」ということで定義されております。文中の”次に掲げる”、の内容としては農耕・牧畜・林業・漁業などなどが含まれており、ようするにそういう人間活動にかかわる中で形作られていった貴重な景観・生業をセットで指定し、文化財として保全していこうという方向性のものです。
で、実はこの周辺は、かなり貴重な水生生物がまとまって残っている、という点でも保全的価値が大変高い場所です。残念ながら、そういう指定を受けていても、水路改修はここ数年かなり進展していまして、ここ2年ほど継続して調査を行っている間にもかなり風景は変化しています。もちろん、その現場で農業をしている人にとっては水路や水田が崩壊するというのは死活問題だというのはわかるのですが・・。こういう局面で生物屋としてどういう方向性を提示していいのか、正直自分にも結論が出ていません。ただ、すでに九州ではこの周辺でしか見られなくなった生物がこのような水路や水田に依存している現状を知ると、無策に絶滅させることもまた、様々な利益に反しているように思えます。幸い、重要文化的景観という肩書きは、上手に活用することで”希少生物と農業生産の共存”を新しい形で可能にするのではないでしょうか。こういう調査に参加できる機会を得たので、とりあえず、いるはずの種類がいない、ということにならないように真面目に採集活動を行ってきました。九州とはいえ山間部なんで霜おりてるし、氷はってるし、福岡の平地と比べるとかなり寒い・・。しかしながら水中はかなり熱い、のです。以下写真。

ミャオ族の棚田には負けるかもしれませんが、かなりの水田風景

懐かしい感じの水路もかなり残っています

こんな水路では冬も結構います。

残念ながら一部はこんな風になっています。水は漏れませんが生き物はほとんどいません。

ヤマアカガエル。すでに産卵はじまってました。

ツチガエル。(・∀・)カコイイ!!
以上です。