オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

今日の魚「ゲンゴロウブナCarassius cuvieri」


今回はゲンゴロウブナです。いわゆる釣りの対象魚としてのヘラブナのほうが通りが良いでしょうか。本来は琵琶湖淀川水系の特産種で、九州では国内外来魚ということになります。水産有用種として養殖され日本各地に放流されたことで有名ですが、九州でも戦前から積極的に導入されていたようです。例えばこちら↓
熊本県水産試験場,1928.源五郎鮒移植試験.熊本県水産試験場(編),昭和二年度熊本県水産試験場事業報告:72-74.熊本県水産試験場,熊本.
他の在来フナ類とは、鰓耙数が100以上あることや、体高が高いこと、体色がメタリックなこと、などで野外でも区別することができます。ただ、九州では在来フナ類の実態が良くわからず、調査していると体の特徴はゲンゴロウブナなのに鰓耙数が少ない、というどうにも中途半端な個体もしばしば採集されます。ひょっとしたら交雑が起こっているのか、あるいは放流されて体の特徴が変わってきたのか、そもそも変なフナが他にもいるのか。いずれ誰かに網羅的に調べてもらいたいものです。

さて、そんなこんなで淡水魚愛好家にはあまり人気のない(釣り人には人気ありますが・・)ヘラブナですが、もしいまでも琵琶湖淀川水系の特産種であったなら、冷静にみるとこれはかなり特徴的でかっこいい魚であるといえるでしょう。

こちらは本場淀川のゲンゴロウブナ。上の写真の九州産とはほぼ同じ大きさですが、雰囲気は明らかに違います。なんというか迫力ありますね!種苗生産されなければきっと皆の憧れの魚の一つだったのに、と思うと甚だ残念なことであります。