ユーモラスな顔でこれまた人気の高いナマズ類です。ナマズの中でもいわゆるギギ類の区別は難しく、同定は若干自信がありません・・。ギギ類の主要な属としてPseudobagrusとLeiocassisとPelteobagrusが知られていますが、分子系統の論文からは属区分について再検討が必要なようです(Ku et al., 2007)。ここでの学名は中国の図鑑(Chu et al., 1999)に従っています。
<追記>と上に書いていますが、ちょっと確認したら学名がChu et al. と全く違っていました。はじめに学名を参考にした文献の浙江動物誌から間違っていたみたいで、勝手に混乱していてすみません。。ナマズへの愛が足りないようです。
Silurus asotus。一応日本と同じ学名が当てられていますのでナマズです。でも地理的な分布を見ると怪しいような気がします。
Leiocassis crassilabris。ずんぐりとした太いギギ。ヒゲも長くてかっこいいです。<追記>→Pelteobagrus fulvidracoでした。広域分布種でコウライギギとも呼ばれます。東アジアでこれを間違ってはいけないようです。ご教示ありがとうございました。
Pelteobagrus nitidus。ほっそりとしていて一見日本のギギに似ています。前種と本種は同じ場所からも採れました。
Pseudobagrus truncatus。前の2種よりも上流で採れました。日本のアリアケギバチにそっくりです。<追記>→Pseudobagrus taeniatusではないかとのことです。ご教示ありがとうございました。
今回採れたのは以上ですがついでなので私の参加しなかった10月の調査で採れたナマズ類を以下に。
Liobagrus styani。アカザの仲間です。今回はこれが採れた地点も調査したんですが採れませんでした。生きたのを見たかったです。
Pseudobagrus tenuis。尾びれが丸くて色も茶色という個性的なギギ。標本は見ましたがすでに色が抜けていました(涙)。これも生きたのが見たかったです。
次回はたぶんハゼ類です。
参考文献
Chu, XL., Zheng, BS., Dai, DY. (1999) Fauna Sinica Osteichthyes Siluriformes. Science Press, Beijing, China. 230pp. (in Chinese with English abstract)
Ku, XY., Peng, ZG., Diogo, R., He, SP. (2007) MtDNA phylogeny provides evidence of generic polyphyleticism for east Asian bagrid catfishes. Hydrobiologia, 579: 147-159.
<参考文献追加>
Ferraris, C.J. (2007) Checklist of catfishes, recent and fossil (Osteichthyes : Siluriformes), and catalogue of siluriform primary types. Zootaxa, 1418:1-548.
Okazaki, T., Jeon, S.R., Watanabe, M., Kitagawa, T.(1999) Genetic relationships of Japanese and Korean bagrid catfishes inferred from mitochondrial DNA analysis. Zoological Science, 16: 363-373.
Watanabe, K., Nishida, M. (2003) Genetic population structure of Japanese bagrid catfishes. Ichthyological Research, 50: 140-148.