オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

向井貴彦・渋川浩一・篠崎敏彦・杉山秀樹・千葉 悟・半澤直人(2010)ジュズカケハゼ種群:同胞種群とその現状.魚類学雑誌,57: 173-176.

日本魚類学会和文誌の魚類学雑誌にて毎号掲載されている「日本の希少魚類の現状と課題」のシリーズとして掲載されていた解説記事です。厳密には論文ではないのかな。本文はこちらで自由に見ることができます(PDFリンク)。部外者にとっては謎が多かったジュズカケハゼ種群についての最新情報がかなりまとまっています。それにしてもこの各集団の地理分布パターンはかなり特異ですね。鳥海山周辺、富山平野周辺、関東平野周辺に固有の集団がいるという地理分布の生物って他にいるんでしょうか。色々と想像がふくらみます。

淡水魚類はその生息状況がかなり危機的な種類も多く、また最近になって同種と思われていた中に複数種が混ざっていたという例が多く報告されつつあり、それぞれの保全対策をどうすべきかは緊急の課題です。きちんと分類をするのには多少の時間がかかるので、とりあえず今明らかに区別できる集団を早急に周知して保全単位として適切に扱ってもらおうという方針は良いことですね。ちなみにこの魚類学雑誌の希少淡水魚類の現状と課題シリーズはすべて見ることができますので、興味ある方はぜひに(リンク)。ヒナモロコとかアユモドキとか有名どころもありますし、その他淡水魚類の周辺で起こっている最新の課題が専門家により詳しく解説されていて勉強になります。