オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

Minoshima, Y., Hayashi, M. (2011) Larval morphology of the Japanese species of the tribes Acidocerini, Hydrobiusini and Hydrophilini (Coleoptera: Hydrophilidae). Acta Entomologica Musei National Pragae, 51 (supplementum): 1-118.
すでに人気ブログ(12)で紹介されていますが、こちらでも紹介。熱い論文が出ました。日本産水生ガムシ類のうち、ツヤヒラタガムシAgraphydrus narusei、キイロヒラタガムシEnochrus (Holcophilydrus) simulans、フタホシヒラタガムシE. (H.) umbratus、キベリヒラタガムシE. (Methydrus) japonicus、ルイスヒラタガムシHelochares (Helochares) pallens、アカヒラタガムシH. (Hydrobaticus) anchoralis、スジヒラタガムシH. (Hydrobaticus) nipponicus、スジヒメガムシHydrobius pauper、コガムシHydrochara affinis、ガムシHydrophilus (Hydrophilus) acuminatus、ヒメガムシSternolophus (Sternolophus) rufipesの7属11種について幼虫形態の詳細な記載と比較を行っています。記載の詳細さなど図を見ていてもうっとりしますが、今後の水生ガムシ類幼虫分野の基礎のひとつとして重要な論文になるでしょう。
また、このグループの水生ガムシ類幼虫はよく似てる上に、どこでも何がしか採れるので悩ましいと思っていたのですが、この論文ではよくみかける代表的な属・亜属の幼虫形態が記載されているので、同定用資料として応用面でも活用が期待できそうです。
フリーでダウンロードできるみたいですので、ぜひご覧下さい。こういう分野の研究はほんとに才能に裏打ちされた個々の人材の個人的な努力にかかっているので、もっと注目されてしかるべきと思います。

ということで水生ガムシ画像を。キベリオオツヤヒラタガムシMegagraphydrus luteilateralis MINOSHIMA & FUJIWARA, 2009。先日西表島ではじめて採集しました。これは良い水生ガムシです。