オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

「水辺の小わざ 改訂増補版」浜野龍夫・伊藤信行・山本一夫(編)
ちょっと自然再生をしたい貴方にオススメなのがこちらの本。初版は2007年に出て速攻購入しましたが、なんと翌年に改訂増補版が出ていました。それは見事に買い逃して絶版になって口惜しい思いをしていましたが、2011年になって再販されました。
内容は5章からなり、第1章が明日の水辺を考える、第2章が川の基礎知識、第3章が山口県の川の生き物、第4章が生態系による山口県の河川の流域区分、第5章が水辺の小わざの種類と適用、となっています。どの章も内容が濃くて、生き物愛好家も河川構造物愛好家も河川環境構造愛好家も楽しめること間違いなしです。
個人的に第2章は何となく知っていた用語の意味を再確認できて実用的でしたし、第3章の図鑑編は魚、甲殻類、貝類を扱っていますがかなりの充実度で納得の内容でした(ただ初版にあった淡水エビ類の幼生解説がなくなったのは残念)。しかし最もこの本で重要なところは第5章ではないでしょうか。ここは山口県内河川で実際に生物のために行った小規模工事(小わざ)の事例集となっていまして、あまりうまくいかなかった事例も含めて様々なものが紹介されています。それぞれの事例でどういう意図でそういう処理をしたのか、ということが細かく解説されていて非常に勉強になりました。
そしてもう一つ、何より先駆的なのはこの本が山口県土木建設部河川課から出版されているということ。山口県にはご存知のとおり独立行政法人水産大学校が鎮座しており、生物の部分での基礎情報は豊富にある状況です。行政の河川担当課がそういった専門家と積極的にコラボして、このような形で川を理解し、川を良くして行こうと考えているのは大変に素晴らしいことだと思います。こういう流れ、ぜひ全国的にもっと広がって欲しいものです。
ちなみに購入はこちらから可能です→リンク
山口県庁のHPでも簡単な解説あり→リンク