オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

書評

書評

「クワガタムシハンドブック 増補改訂版」横川忠司(著)、文一総合出版(リンク) 2008年に出版された日本のクワガタムシハンドブック(当時の書評はこちら)が、10年の時を経て大幅にパワーアップして帰ってきました! 右が旧版、左が今回出た増補改訂版で…

日記

外来生物問題について基礎から知りたい教科書的なものを知りたい、という意見がいくつか届きましたので、まずは以下の3冊を紹介したいと思います。他にも色々とためになる良い本は多くあります。 ●西川 潮・宮下 直「外来生物: 生物多様性と人間社会への影響…

書評

フレッド・ピアス「外来種は本当に悪者か?: 新しい野生 THE NEW WILD」草思社.全体として本書は専門的な用語の定義や使い方に誤りが多く、そもそも「社会問題としての外来種問題」に関する基本的な部分に誤解があります。したがって導き出される考察や結論…

書評

「世界のクジラ・イルカ大図鑑」 アナリサ・ベルタ(著)・山田 格(監)・黒輪篤嗣(訳) 2015年に出た洋書の和訳本のようですが、すさまじい品質に感動しました。系統進化から、生態、生活史などの総説が続く前半。後半はいわゆる図鑑的に各種ずつの解説に…

書評

「ウナギのいる川 いない川」内山りゅう(著)・揖 善継(監) 写真家の内山りゅうさんと和歌山県立自然博物館の揖 善継さんの共働作品です。ポプラ社のポプラサイエンスランドというシリーズで、子供向けという雰囲気のつくりですが、内容は濃いです。非常…

書評

「クモを利用する策士、クモヒメバチ 身近で起こる本当のエイリアンとプレデターの闘い」高須賀圭三(著) 各界から評判の東海大学出版部、フィールドの生物学第17巻です。拙著「湿地帯中毒」と同時発売ということで、何やら縁を感じます。著者の高須賀さん…

馬場友希・谷川明男(2015)クモハンドブック.文一総合出版. クモファン待望の図鑑!大学時代に生物研究部でしのぎを削った盟友馬場君の図鑑です。図鑑の冒頭にあるように日本産クモは約1600種もいるのですが、そのうち身近な(本州、四国、九州の平野部)…

日記

中坊徹次・平嶋義宏(2015)日本産魚類全種の学名: 語源と解説.東海大学出版部. 何とも面白い本が出ました。つい買ってしまいましたが、これは面白いです。タイトルどおり日本産魚類全種の学名について、その語源を解説しています。内容は淡々と羅列してい…

日記

内山りゅう・酒泉 満(2015)ぜんぶわかる!メダカ.ポプラ社. みんな大好きメダカ、のまさに決定版とも言うべき本が出ました。まさかの児童書なわけですが、内容は超濃くて愛好家の皆さんでも十分に、十分すぎるほど満足できる内容です。 前半はメダカの棲…

書評

「斉藤憲治・内山りゅう(2015)くらべてわかる淡水魚.山と渓谷社.」 注文していた図鑑が届きました。楽しみにしていたものですが、内容は期待どおりで良かったです。特に入門用と割り切って種数をざっくり落として本州〜九州の身近な魚に絞った、という思…

「右利きのヘビ仮説 追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化」 細 将貴(著) 昨日紹介したのと同じシリーズで、同じく一気に読めてしまったのがこちら。王道の面白生態学を実践している著者の渾身の一冊。生き物好きな方、面白い生態学が好きな方、こ…

「アリの巣をめぐる冒険 未踏の調査地は足下に」 丸山宗利(著) アリと同居する昆虫の研究で有名な九大総合博物館の丸山宗利さんの渾身の一冊。200ページ超えとこのシリーズでは長いですが、一気に読めてしまいました。生き物好きな人や研究者とは何かを知…

「干潟の絶滅危惧動物図鑑 海岸ベントスのレッドデータブック」日本ベントス学会(編) 各所で話題沸騰のこの図鑑を私も購入しました。一読して、スゴスギル・・という感情からため息が出ました。きちんと調べないと名前がわからない生物なんてけっこういま…

「水辺の小わざ 改訂増補版」浜野龍夫・伊藤信行・山本一夫(編) ちょっと自然再生をしたい貴方にオススメなのがこちらの本。初版は2007年に出て速攻購入しましたが、なんと翌年に改訂増補版が出ていました。それは見事に買い逃して絶版になって口惜しい思…

「紫川大図鑑」北九州高校魚部(編) 噂の魚部の最新本です。実は7月に出ていたのですが紹介し損ねていました。スミマセン。今回も一部執筆させていただいています。 魚部本第1弾は水生昆虫図鑑、第2弾は干潟本、ということで生き物中心でしたが第3弾は紫川…

「しでむし」舘野 鴻(著) ちょっと前に出たものですが、何となく購入してとっても良かった絵本です。ストーリーは「しでむし」ことヨツボシモンシデムシの一生をおったものですが、多様な生き物とのかかわり様が緻密な絵で淡々とつづられています。最後の…

「水生昆虫大百科」神奈川県立生命の星・地球博物館(編) 現在、神奈川県立生命の星・地球博物館でおこなわれている「およげ!ゲンゴロウくん〜水辺に生きる虫たち〜」という特別展の展示解説書です。コラムを2つ書いている関係で送っていただいたのですが…

「本」

「長崎県の哺乳類」松尾公則(著) 楽しい本の紹介。何気なくアマゾンでポチってしまった本なんですが、想像のはるか上をいくマニアックさと面白さでした。とりあえず確実に生息する種については意地で(?)全種の生態写真を掲載しており、特になかなかそろ…

「ツノゼミ ありえない虫」丸山宗利(著) そんななか先週からの私を救った本がこちら。ツノゼミのありえない姿がこれでもか、と掲載されています。なんというか小さい時に子供向けの図鑑の世界の昆虫ページを見ていた時のような、おお!とかすげー!とか割…

「中小河川の技術基準 解題 多自然川づくりのすすめ」島谷幸宏(著) 今年の8月に国土交通省から出された通達である「中小河川に関する河道計画の技術基準について」の解説本です。この通達は県以下が管轄する中小河川についての川づくりの基準や方針を示し…

「古地図の中の福岡・博多」 宮崎克則・福岡アーカイブ研究会(編) 古地図スキーな私ですが日本の大都市はだいたいがもともと大湿地帯だったので、その変遷はかなり面白いです。この本では1800年頃に作成されたとされる地図を、現在と比較するという構成を…

「川の百科事典」高橋 裕(編) 川にまつわる用語あれこれを解説したまさに百科事典。執筆者総勢190名というのが非常に面白い企画ではないかと思われます。生物学、工学、社会学と様々な分野の専門家がそれぞれ責任をもって用語解説をしているので、比較的薄…

和漢三才図会(7)寺島良安(訳注・島田勇雄・竹島淳夫・樋口元巳) 和漢三才図会は江戸時代の医者である寺島良安が1770年代前半頃に執筆したとされるいわば百科辞典。平凡社の東洋文庫から現代語訳版が出ており、今回紹介するのはこれの6巻と7巻。6巻は今で…

ニホンカワウソ-絶滅に学ぶ保全生物学気まぐれ書評。年末年始にかけて読んでいたのがこの本。何日か前に上野動物園に行ったのは実はこの本が原因です。カワウソに関する様々な分野の情報が記述されていて大変充実した内容でした。江戸にいたカワウソ、妖怪と…