オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

洲澤多美枝・清野聡子・真山茂樹(2011)筑後川上流に大量出現したCymbella janischii (A.W.F.Schmidt) De ToniとGomphoneis minuta (Stone) Kociolek & Stoermer:外来種珪藻の可能性について.Diatom,27 :58-64.
2012年一つ目の論文紹介。SZ-1さんに教えてもらいました。どうもありがとうございました。筑後川水系の一部で大繁茂している藻類が北米原産の外来珪藻の一種であったという衝撃的な論文です。この藻類はマット状に川底を覆い、在来の生態系に大きな影響を与える可能性があるとのことで、かなり気になります。
実はこのあたりでマット状に底面を覆っている藻類があるなあ、というのは数年前から私も見ていまして、単に局所的な富栄養化か何かだと思っていました。しかしこれが外来藻類の異常繁茂だったわけです。何か異変が起こっている時には、常に科学的観点からその原因を理解する努力をしておくべきだということを痛感しました。
実は似たような生態を持つ外来藻類が大繁殖して生態系に問題を起こしている例はすでにニュージーランドで確認されています↓
Didymoディディーモ
こういう事態になる前にまず大事なのは、これ以上の拡散を防ぐことです。この藻類は冷暗所で湿った状態であれば40日も生きているということで、胴長靴や網などに付着させて、研究者や釣り人が各地にばらまいてしまう危険性があります。ニュージーランドに侵入した経路も実際にこれらが原因とされています。
日本からもこういう外来種が見つかってしまったということで、湿地帯を愛好する皆さんには、このような生物の分布拡散を防ぐために少しでも気を使ってもらえればと思います。具体的には器具の洗浄、使用後の乾燥、薬品処理、お湯での処理など色々と有効な手法があるようです(上でリンクしたサイトで詳しく解説してます)。もちろん自らも気をつけていきたいです。