オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Okamoto, T., Hikida, T. (2012) A new cryptic species allied to Plestiodon japonicus (Peters, 1864) (Squamata: Scincidae) from eastern Japan, and diagnoses of the new species and two parapatric congeners based on morphology and DNA barcode. Zootaxa, 3436:1–23.

Okamoto, T., Hikida, T. (2009) Three genetic lineages of the Japanese skink Plestiodon japonicus (Scincidae, Squamata) and the genetic composition of their contact zones. Journal of Zoological Systematics and Evolutionary Research,47: 181–188.
すでに各所で話題になっていますが、ニホントカゲの東日本集団が新種・ヒガシニホントカゲPlestiodon finitimusとして記載されています。2009年の論文は系統地理的な論文で、ここですでに東日本のニホントカゲが別種レベルに遺伝的分化をしていることが書かれており、同一著者らによってこのたび形態的にも区別が可能ということで新種として記載されたということのようです。ということで両方見比べながらみると、本土におけるニホントカゲPlestiodon japonicusオカダトカゲPlestiodon latiscutatus、ヒガシニホントカゲPlestiodon finitimusの集団構造がフムフムと理解できます。
私が大学生の時はニホントカゲの学名はEumeces latiscutatusだったような気がします。いまや属名が変わり、オカダトカゲが実はlatiscutatusであり、さらに東日本のものは新種だった、ということでまさに隔世の感です。
ちなみに本土におけるその3種の分布パターンが興味深い。特にニホントカゲとヒガシニホントカゲの不可視境界線は若狭湾の真ん中あたりからスタートして、琵琶湖の真ん中をつっきって、鈴鹿山地を南進して、途中で紀伊半島中央構造線にのって西に向かう、というラインになっています。紀伊半島の真ん中で南部がヒガシ、北部がニホンなわけです。