湿地帯中毒

湿地帯中毒患者(末期)の日記です。

論文

Tominaga, K., Nakajima, J., Watanabe, K. (2015) Cryptic divergence and phylogeography of the pike gudgeon Pseudogobio esocinus (Teleostei: Cyprinidae): a comprehensive case of freshwater phylogeography in Japan. Ichthyological Research: online first (LINK)
業界が熱望していたカマツカの系統地理論文がついに出版されました!日本列島におけるカマツカ分布域の全域、青森県から鹿児島県に至る136水系201地点1212個体の遺伝子解析の結果から、カマツカの遺伝的な集団構造とその分布域形成過程について考察しています。日本列島における淡水魚類相ひいては陸水生物相の成立様式を解明する上でも重要な科学的知見を提供していると思います。
この論文の中で日本のカマツカは別種レベルに分化した3集団からなることが明らかにされました。本州西部、四国、九州に分布するクレードA、本州西部の一部地域(概ね伊勢湾と瀬戸内海流入河川)に分布するクレードB、そして本州東部に分布するクレードCです。となると、淡水魚愛好家としてはこの3集団は分類学的にどうなの、というところが気になります。遺伝的には別種としても差支えないほどの分化を示しており、個人的には日本のカマツカは3種に分けることが妥当だろうと思います。
で、肝心の本物のカマツカP. esocinusが誰なのか?というところですが、これについては記載論文の図や模式産地などから、クレードAである可能性がきわめて高いでしょう。もちろん、形態学的な研究がなくては確かなことが言えませんので、今後その方面の研究の進展が楽しみです。

クレードA(上)とクレードB(下)

クレードB。クレードCは採ったことないです・・