オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Nakajima, J. (2016) Cobitis takenoi sp. n. (Cypriniformes, Cobitidae): a new spined loach from Honshu Island,Japan. ZooKeys, 568: 119-128.(リンク
従来和名先行で定義されていた「タンゴスジシマドジョウ」をCobitis takenoi Nakajima, 2016として新種記載しました。この種ははじめ、竹野ほか(2010)においてスジシマドジョウ種群4倍体性集団丹後型として報告され、その後に中島ほか(2012)において、新和名としてタンゴスジシマドジョウが提唱されたものです。
本種は非常に分布が局地的で、奇妙なシマドジョウです。異種間交雑由来の4倍体性種であり、シマドジョウ属の種分化様式や日本列島の淡水魚類相の成立過程を考える上で学術上も重要な種と考えられます。しかしながら、その生息状況は楽観できる状況ではありません。河川改修や浚渫等により絶滅することがないよう、行政的にきちんと取り扱っていく必要があります。環境省レッドデータブックではすでに絶滅危惧IA類に選定されており、売買目的の捕獲は断じて行うべきではありません。いつまでもこの地域に生き続けるよう、皆で大事にしていきたい魚です。


これでひとまず知られている日本産スジシマドジョウ類のすべてに学名がつくことになりました。長い道のりでしたがなんとか整理ができて良かったです。ただ、以前の記載については少し気になっている部分もあるので、時が来たら総説のような形で再度整理していきたいと思います。