オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Vasil'eva, E.D., Kim, D., Vasil'ev V.P., Ko, N.H., Won, Y.J. (2016) Cobitis nalbanti, a new species of spined loach from South Korea, and redescription of Cobitis lutheri (Teleostei: Cobitidae). Zootaxa, 4208: 577-591.
たまには論文紹介。ずっと「韓国のルテリ」と業界で言われていたあのスジシマドジョウCobitis nalbantiとしてついに新種として記載されました。また記載は古く、我らがスジシマドジョウ種群の履歴を考察する上で重要な種でありながら、その存在が若干謎であった「真のルテリ」ことC. lutheriの再記載もセットという素晴らしい内容です。ちなみに私の論文も引用されていてうれしいです。
今回、頬の模様の特徴にも注目しているところは、新しいでしょうか。なるほど、確かにこの模様は目立ちます。極東ロシア〜朝鮮半島〜九州のスジシマドジョウ種群は見た目がどれも似ていますが、遺伝的にはきちんと区別できるものです。今回分類学的な研究が行われたことで、生物地理学的な考察もしやすくなるのではないでしょうか。これらを踏まえて詳細な分子系統学的な研究も進展することを期待しています。九州北西部の淡水魚類相の成立様式を考える上でも、重要な課題です。
別刷りを送っていただいたKim Daeminさん、どうもありがとうございました。

以前に韓国に行った際に捕獲したこれ、すなわちCobitis nalbanti Vasil'eva, Kim, Vasil'ev, Ko & Won, 2016ということになりますね。