オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

生きてます。自分の風邪〜家族の風邪などでばたばたしていました。年末の行事も色々と。。

先週はIUCNのレッドリスト作成ワークショップ参加のためTOKYOにいっていました。ドジョウ食べにいく時間もないくらいみっちりとしたものでしたが、年の近いよく知っている魚類学者の皆さんとの合宿的な作業は大変楽しかったです。生物多様性保全を行政的課題として行っていく上で、レッドリストのランクの科学性・客観性そして妥当性は今後ますます重要になっていくものと思われます。残念ながら国版ですら、これは主観的に過ぎるのでは、と感じるランクになっているものが散見されます。思い入れは大事ですが、評価はきちんと切り分けて行っていくべきでしょう。そういう意味でIUCNのランクの付け方は非常に参考になりました。今後生かしていきたいと思います。

九州固有種のアリアケギバチ。環境省版RLでは絶滅危惧II類になっていますが、今回のポイントの付け方ではLC(軽度懸念=絶滅危険性なし)となりました。壱岐島では絶滅がほぼ確実で、筑後川水系では国内外来種のギギの侵入によりここ10年で生息域が激減しています。一方で分布域全体をみれば矢部川水系川内川水系など比較的安定した産地があり、小河川での生息地も多いことから、「種としての絶滅」の危険性はかなり低いという評価は妥当かもしれません。
とにかく一種も絶滅させない、という点を重視すれば、本当に絶滅するかもしれない種をきっちりCRやENにしておかないと、対策の優先順位を誤るでしょう。IUCNレッドは世界規模での基準ですので、国内レッドにまったくそのまま当てはめるのは不都合となる部分もありますが、基本的にはこういう形で機械的にランクづけしていくことが、有効な保全対策を実施していく上で有用なのではないかと思いました。

九州(と山口県西部)の固有種ヤマトシマドジョウ。こちらもいまの国版レッドでは絶滅危惧II類ですが、同じくIUCNレッド基準だとLCになりました。まあ、そうかもしれません。ちなみにこのランクで良しとしたのは自分ですので、シマドジョウ属の思い入れが過ぎたかもしれません。反省(もちろん減っているというデータはあります)。
ああ、そうそう、それから何よりも痛感したのは分類学の重要性。今回のワークショップでは日本固有種を対象としていたものの、未記載種はすべて評価外という扱いでした。学名がないということはその種が存在していないということで、定義されていないものは評価しようがないということは当然のことです。だいぶ進んできた日本の淡水魚類の分類学ですが、あと少し、進展していくことを期待しています。