オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Huang, S.P., Wang, F.Y., Wang, T.Y. (2017) Molecular Phylogeny of the Opsariichthys Group (Teleostei: Cypriniformes) Based On Complete Mitochondrial Genomes. Zoological Studies, 56: 40. (doi:10.6620/ZS.2017.56-40)(PDF
SZ-1氏に教えてもらいましたが、昨年にオイカワ類の分類に関する論文がでていたようです。コイ目の分子系統を基盤に新しい分類体系の提案をしており、コイ目を細分化してこれまでの亜科を科に昇格すべきと書いています。すなわちカマツカ科、タナゴ科などなどというところでしょうか。しかし形態的な定義や分類のルールに則っていないので、これはまあ仮説提案というくらいの扱いになるでしょうか。一方でオイカワ類についてはやや掘り下げて、形態(というか模様)の特徴から色々と議論をしています。こちらも分類学的にきちんとする必要はあると思いますが、重要な点としてオイカワ属Zaccoが認められるとしているところです。日本の図鑑類ではハス属Opsariichthysにしているものが多いのですが、この点についても分類学的にはきちんと説明された論文がでていません。査読された論文ベースに議論するという本来の形に基づけば、やはりいまのところオイカワ属Zaccoは有効ということになるのではないでしょうか。分子系統や模様の特徴からも妥当な意見であると思います。ぜひとも形態に基づいた本来の分類学的な議論が行われて欲しいものです。