オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Okada, R. (2021) First record of Hydroglyphus geminus (Coleoptera, Dytiscidae) from Japan. Elytra, New Series, 11: 187–188.

 日本産ゲンゴロウ科に一種増えました。対馬からオウシュウチビゲンゴロウHydroglyphus geminusが初記録です。本論文ではあわせて日本産チビゲンゴロウ属全種の検索がついており、これでチビゲンマスターになれます。

本種はヨーロッパから朝鮮半島にかけて記録されていた種で、朝鮮半島に最も近い対馬から記録されたのは納得でもあります。チビゲンゴロウによく似ていますが、頭部の暗色模様がより広いこと、上翅の明色模様の面積が大きいこと(ただし似たような模様変異のチビゲンゴロウもいます)、体型は中央部がやや幅広い楕円形であること、交尾器形態などからチビゲンゴロウほか既知種とは明確に区別できるようです。

当然のことながら対馬にはチビゲンゴロウも分布しており、これからはなんだチビゲンか、と見逃してはいけないということになります。これは対馬からほど近い、九州北部においても同様でしょう。今後は私もじっくりチビゲンを眺めていきたいと思います。