オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

某所で行われたカスミサンショウウオの産卵場所掘削作業をお手伝いしてきました。

しかし今年は水が少ない・・雨が降ってくれないと産卵場所になりません。頼みます。この周辺では他の産地がみつかっておらず、かなり孤立した個体群と思われ、手を入れ続けないと絶滅してしまうでしょう。

 

同所のこの春の様子。水がたまっています。

例年はこのように卵のうを見ることができます。ただ、やはり毎年水は少なくて、上陸まで行かない年もあるそうです。ここはもともと水田だった場所で、上の小河川から水をとる構造があるようで、今後はこの取水の復活も考えていかなくてはならないでしょう。

カスミサンショウウオは干上がりやすい不安定な水たまりに産卵するのが大好きなので、干上がって死んでしまうことは生活史の中に織り込み済みです。したがって、いかに干上がりそうな湿地帯を干上がらないようにつくるか、というところが重要になってきます。

福岡県内ではおよそ2~3月頃が産卵期で、その後6月くらいまでには成長して上陸します。上陸した個体は完全な陸生で、隣接する山林の落ち葉下や土中などで成長します。成体は10年以上生存して何回も産卵し、条件の良い年には大量の幼生が成長して個体数が増加しますが、条件が悪い年は繁殖に失敗することも少なくないと思われます。不安定な水たまりへの産卵は干上がりの危険性がありますが、一方で捕食者が少ないという利点もあります。

そんな生活史特性をもっていることから、個体群がある程度以上小さくなってしまうとなかなか回復しませんし、近年では外来種のアライグマに成体が捕食されてしまうという事態も報告されており、受難が続いています。かつては人里で長らく共存してきた湿地帯生物です。なんとか努力して絶滅しないようつなげていきたいものです。