オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

東アジアのフナ類の分子系統論文が出ていました。
Takada, M., Tachihara, K., Kon, T., Yamamoto, G., Iguchi, K., Miya, M., Nishida, M. (2010) Biogeography and evolution of the Carassius auratus-complex in East Asia. BMC Evolutionary Biology: (DOI: 10.1186/1471-2148-10-7)
かなり広域のサンプリングとミトコンドリアDNAの複数領域を読んだ解析ということで、現時点でのフナ類の系統別地理的分布の概要を高精度で読み取ることができます。個人的に興味深かったのは、琉球列島には在来と思われるフナ類がいるということ、どの系統にも3倍体が出現していること、ゲンゴロウブナC. cuvieriが明瞭に区別できる種であったことの3点です。ただ形態については言及しておらず、いわゆるキンブナ、オオキンブナ、ナガブナがようするに何なのかは良くわかりませんでした。論文中では集団ごとの保全についても触れていますが、その保全単位に対する形態的な研究も今後は必要になってくるのではないでしょうか(区別できないということも含めて)。いずれにしろ色々と妄想が膨らんで興味の尽きない論文です。ついでなのでいくつかフナを貼ります。

いわゆるキンブナ(東京都産)。子供のころフナといえばこいつで、いわゆるギンブナの方がレアだったのを思い出します。

いわゆるナガブナ?(青森県産)。ゲンゴロウを探してさまよっている最中に採れたもの。標本はおろか写真もこの一枚のみという有様です。