オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

論文

Inoda, T., Balke, M. (2011) Status of Japanese Dytiscus species (Coleoptera: Dytiscidae) based on mitochondrial DNA sequence data. Entomological Science: doi:10.1111/j.1479-8298.2011.00497.x
日本産ゲンゴロウモドキ属の分子系統です。サンプリング地点は必要最小限で完璧なので、ゲンゴロウ業界の方であれば図だけ見ていても非常にわかりやすく、ああなるほど、と楽しめる論文です。
最も興味深いところとしてはシャープゲンゴロウモドキの太平洋側集団と日本海側集団(コゲンゴロウモドキ)が遺伝的にはかなり明確に区別できるというところでしょうか。森・北山(2002)では同一種にまとめられていますが、やはり亜種として区別しておく方が、保全単位としてもわかりやすいのではないでしょうか。
それと、個人的に気になっていたエゾゲンゴロウモドキの北海道集団と東北地方集団(キタゲンゴロウモドキ)ですが、少なくとも解析した部位ではそれほど明瞭な遺伝的差異が出ないんですね。