東海大学出版部のフィールドの生物学シリーズの第18巻として「湿地帯中毒:身近な魚の自然史研究」が発売となりました。
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目次は以下です。
はじめに
第1章 研究のはじまり
はじまりはカマツカ
迷走修士課程
第2章 カマツカの自然史
普通種という視点で
初期生態の解明
生活史の本丸
カマツカはなぜ普通種なのか?
第3章 ドゼウ狂
スジシマドジョウの夜明け
ドジョウ新時代
第4章 湿地帯に沈むまで
自然史の自習時間
昆虫採集との出会い
博士号取得後の展開
いつまでも湿地帯で
あとがき
以上のような目次となっております。内容としては1章と2章が学生時代のカマツカ生活史研究を中心とした奮闘、3章はシマドジョウ属の分類研究のこと、4章は自伝的な感じです。普通種カマツカの秘密能力や、スジシマドジョウ種群の分類学的研究の秘策などについて、特に詳しく書いてみました。また、本の中で写真を載せた湿地帯生物は100種以上あり、お気に入りの湿地帯生物を探している人などに役立つかもしれません。その他投網の投げ方講座、魚の採り方講座、などコラムも満載です。タイトルはものすごく悩んだのですが、愛着のあるこのブログと同じにしました。自身の生き様そのものを表したこれ以上の言葉は現時点で思いかびませんでした。
このフィールドの生物学シリーズは、若手野外系生物学者の自伝的研究解説エッセイなわけですが、水物・魚類ははじめてとなります。生物学と言えば仮説検証型の生態学あるいは遺伝子が絡んだものなどが花形ですが、本書で書いているのはそれらとは方向性が全く異なる古典的な記載的な自然史研究です。このような生物学の実際とはどのようなものなのか?そして、このような生物学を行う意義はどこにあるのか?などの部分について普段考えていることをなるべく盛り込みました。あわせて湿地帯生物の魅力も、少しでも多くの方に伝わればと思います。どうぞよろしくお願いします。