オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

実は先週に奄美大島に調査に行っていたのですが、そこで島バナナをみつけたのでお土産に買いました。

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これが6日前、買ってきた翌日です。緑色です。まだ食べられません。島バナナとは南西諸島で栽培されているもので、普通のバナナより小さ目です。品種も実は色々とあるようで、お店のおばちゃんには「小笠原」や「ブラジル」というのがあると聞きました。「小笠原」の方が昔からある品種で、「ブラジル」は最近のものだそうです。以前に「小笠原」が美味しかったので、今回も「小笠原」を購入しました。しかし緑色過ぎて本当に黄色くなるのか不安です。
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そしてこちらが昨日の様子。なんといきなり1つがかなり黄色くなってきていました。これは期待できます。実は5日間まったく変化がなかったので、本当に黄色くなるのか不安であったのでした。そして・・

 

 

 

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そして今日です!!驚くべきことにすべてが一気に黄色くなっていました!!とはいえ根本が緑色のものもまだありますので、一番はじめに黄色くなった下段の中から、柔らか目のものをもいでみます。

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おいしそうです。で、おいしかったです。この「小笠原」は酸味があってさわやかな甘さが特徴です。この味です。大変満足しました。まだたくさんあるのでたくさん食べられそうですが、ポン氏もバナナが好きなので、全部食べられてしまわないよう注意が必要です。

ところで、こうした農作物の「地域品種」というのは生物多様性の恵みの一つして扱われます。バナナと言えば先日に、バナナの病気である新パナマ病が世界中に広がりついに南米・コロンビアにも上陸し、現在生産の主流となっている「キャベンディッシュ」という品種が絶滅の危機にあるというニュースが出ていました(リンク)。ご存じのようにメジャーな食用バナナは3倍体で種子ができません。すなわちクローンとして株分けで増やしていくわけですが、これは遺伝的に均質な集団です。したがって、ひとたび特定の遺伝的集団に強烈に効く病気が蔓延すると、抵抗力なく瞬く間に全滅するリスクがあるのです。実はバナナの全滅はこれが初めてではなく、およそ60年前にも「グロスミッチェル」という同様にクローンで増やし世界中で栽培されていた品種が、パナマ病により壊滅しています(ただし絶滅はせずかろうじて栽培しているところもあるそうです)。その後に主流になったのが今の「キャベンディッシュ」というわけで、そして今はバナナ2回目の危機ということになります。

さて、こうした時に、遺伝的に異なる地域品種があれば、それらに基づいて流行している病気に感染しない新しい品種をつくることができますし、あるいは今ならその塩基配列の特徴を解析することで、遺伝子組み換えなどにより病気に強い性質を導入することも可能かもしれません。すなわち農作物においても、品種の多様性、すなわち遺伝的な多様性を保全するというのは重要なのです。もし世界中でたった一つだけのバナナの品種しかなくなってしまったら、何らかの病気が発生した場合に我々はなすすべなく一切のバナナを食べられなくなってしまう可能性もあるのです。

と、いうことで古くから南西諸島で栽培されてきた「島バナナ」も、人類共有の貴重な遺伝子資源として、末永く大事にしていく必要があるでしょう。奄美大島では秋に出ているものだそうです。確かに春に行った時はありませんでした。今の時期、もし南西諸島に行かれたらぜひ探してみてください。